ランニングのふくらはぎの張りと痛みの原因は筋肉の質と柔軟性にあり!
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表題のようなふくらはぎの張りと痛みに悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか?
まず、このふくらはぎに張りと痛みがある場合に考えないといけないことは
「なぜ、ふくらはぎに張りや痛みがでるのか?」
ということです。
原因を突き止めない限り、根本的な改善とは行かず、「痛みや張りが緩和した」と思って走るとまた痛める、ストレッチやマッサージを行ってケアをして、痛みや張りは軽減するがまた走ると再発するという悪循環に陥ります。
ランニングは走り方で張りやすい場所、痛みやすい場所が変わる
ふくらはぎの中でも張りや痛みが出やすい部位
ふくらはぎの張りや痛みと言っても人それぞれ張る場所、痛む場所も違うと思います。
ふくらはぎの張りやすい場所、痛みやすい場所は大きく分けると3つです。
- ふくらはぎの内側
- ふくらはぎの外側
- ふくらはぎとアキレス腱のつなぎ目
それぞれその場所が痛む原因について見ていきます。
ふくらはぎの内側
ふくらはぎの内側が張りやすい、痛みやすい人はランニングの際の後ろ足で蹴る癖が強く、かつ親指側を使っている可能性が高いです。
ふくらはぎの外側
ふくらはぎの外側が張りやすい、痛みやすい人はランニングの際に着地の局面で足の外側で着地している癖が強く、着地の衝撃をふくらはぎの外側、太ももの外側で受けてしまっていることにより引き起こされている可能性が高いです。
ふくらはぎとアキレス腱のつなぎ目
ふくらはぎの下側が張りやすい、痛みやすい人はランニングの際につま先で着地する意識が強く、実際に着地の衝撃をつま先で受けてしまっているため、その衝撃をアキレス腱の伸張によって吸収しているため、そのストレスがふくらはぎとアキレス腱のつなぎ目にかかっている可能性が高いです。
ランニングにおけるふくらはぎの張りと痛みの原因になる3つの要因
- 筋肉の質の問題
- 柔軟性の低下
- 動作パターンのエラー(走り方が良くない)
ランニングに限らず、山登りをしたらふくらはぎの筋肉痛がひどかった、いつもの何倍もの距離を歩いたらふくらはぎがひどい筋肉痛になった、久しぶりにスポーツをしたらふくらはぎがひどい筋肉痛になった。
これらの事からわかることは運動強度や動作スピードに関わらず筋肉痛は起こるということです。
1.筋肉の質が原因かも…
1.の筋肉質の問題については、まだランニングに耐えうるだけの筋肉が備わっていない、もしくは単に過度にふくらはぎの筋肉を使いすぎているため筋肉痛がひどくなると考えられます。
- 普段歩かない距離を歩いた
- 普段行わない強度で走った
- 普段走らないのに日常生活レベル以上の動作をした
ことによって筋肉痛は起こったとも言えます。
少し話は変わりますが物事には原理・原則があるようにトレーニングにも原理・原則が存在し、今回はトレーニングの三大原理を簡単に紹介したいと思います。
その三大原理とは、「過負荷の原理」 「特異性の原理」 「可逆性の原理」 といって、いずれも聞きなれない言葉だと思いますが、運動能力やカラダの機能を向上させるにあたり、トレーニングに絶対不可欠なものです。
過負荷の原理
運動能力や身体機能向上をさせるためには日常生活レベルの運動では刺激が不十分で、日常的な水準以上の強度が必要であり、アスリートにおいては限界を超えた強度でのトレーニングが必要になります。
つまり、現在すでに十分に活動的な生活を送っている人はその機能を維持するためには特に過負荷を必要とせず、現在の生活を続ければ問題はないということになります。
特異性の原理
身体の細胞は特定の刺激に対して特定の反応を起こし、適応が起こって変化します。
重ねた要求にのみ反応します。
よって、目的とするトレーニング効果を得るためにはその特異性を考慮したトレーニングを行う必要があります。
わかりやすく言うと、お尻を引き上げたいのに胸のトレーニングをしても望んだ効果は得られないように、マラソンのタイムを早くしたいのであれば走る動作に関わるトレーニングを行わなければ効果を得られないということになります。
可逆性の原理
一定期間トレーニングを実施して、その効果が得られても、トレーニングを継続しないとカラダは元の状態に戻ってしまいます。
継続をすることで初めて効果が得られるということになります。
トレーニングもそうですが散発的に行ってもなかなか変化は見られないように、ランニングも散発的に走るとなると、なかなかパフォーマンスも上がって来ない上に筋肉痛も出やすくなってしまいます。
この3つの原理からわかることは、過負荷の原理に習い少しずつ運動強度を上げていかないと、いつまで経ってもパフォーマンスは上がらないということ、ランニングを始めて間もない頃はその運動強度にまだ慣れていないため、もしくは筋力が足りていないために筋肉痛が起こるとも言えます。
また、特異性の原理、可逆性の原理からいえることはランニングを定期的に継続していけば、その動作パターンに慣れてきて、距離を延ばしたり、スピードを上げることで強度を上げていくと次第にパフォーマンスは上がってきます。(ランニングに耐えうる筋肉が備わる)
強度を上げるタイミング(距離を延ばしたり、スピードを上げたり)で筋肉痛がひどくなったりすることは問題ありません。
2.柔軟性が問題かも…
これらに関係なく、いつ走っても張りがすごい、筋肉痛がひどい、痛すぎて走れないという状態は距離や強度に関係なく、走るだけで痛みが出るということなので、筋力以外の部分で原因を探さなければなりません。
その1つ目の原因として考えられるのが “柔軟性” です。
筋肉が硬くなる過程として考えられるパターンは2つです。
- 使い過ぎで硬くなる
- 使わなくて硬くなる
ふくらはぎに関しては、「A.使い過ぎで硬くなる」パターンがほとんどだと思います。
人間が最も多く行う動作は “歩く” です。
この歩く動作で、もちろんふくらはぎは使われます。
いつもよりたくさん歩いた時にふくらはぎが筋肉痛になった経験はあると思います。
歩くだけで筋肉痛になるということは、それより強度の高い “走る” という動作では筋肉痛を引き起こすリスクがさらに上がるということになります。
いわゆる、これらの状態はオーバーワークであり、使いすぎて筋肉痛を引き起こしています。
筋肉は収縮(縮まること)で力を発揮します。
縮まることばかりをして伸張(伸ばすこと)をしていないとどうなるか⁇
筋肉の長さは縮まってばかりだと、次第に元の長さより短くなっていきます。
そして、脳や身体は賢いので、その長さをアップデートして上書きします。
これが柔軟性を失うメカニズムです。
つまり、運動をしたら使った筋肉をしっかり伸ばさないと、元の長さを維持できなくなるということです。
適切なストレッチとは?
柔軟性をアップさせるためにストレッチをする人はたくさんいると思います。
しかし、適切なストレッチをできているかが問題です。
柔軟性が高い人で思いつくのはヨガインストラクター、バレエダンサー、体操選手などになると思います。
見た目に開脚がすごく開く、Y字バランスができるなどイメージが飛躍しがちです。
柔軟性はあればあるほど良いという訳ではなく、重要なのはバランスよく柔らかく、柔らかさに偏りがないかということです。
左右差が大きい、前屈(立った状態で身体を折り曲げ地面に手を付けていく動作)は得意だが後屈(立った状態から身体を後ろに反らす動作)は苦手など、ケガのリスクを上げるのはこのバランスを崩した状態で最も起こりやすくなります。
極端に言えば、バランスよく硬い方がケガはしにくいということです。
これはどういう理由かというと、そもそもバランスよく硬いので動きの幅が限定されます。
どこかが偏って柔らかい場合、動作の負担がそこにかかりやすくなるためです。
カラダは得意なところを使いがちで、それを繰り返すことでオーバーワークを招くことに繋がります。
ランニング前後の柔軟性を意識したおすすめケア方法
ランニングにおいて区別しておきたいのは
- ランニング前
- ランニング後
で方法を変えて欲しいということです。
ランニング前後での大きな違いは今から筋肉を使うのか、今から筋肉を休めるのかの違いです。
「筋肉を使う=筋肉の伸び縮みが必要」
「筋肉を休める=筋肉の伸び縮みは必要なし」
この違いだけで見てもトレーニング前後で同じことをしていては、いけないというのは想像できると思います。
筋肉を活動させるためには筋肉の収縮(縮めること)と伸張(伸ばすこと)という動きの連続が必要です。
この観点から行くと、トレーニング前に一般的に認知されているじっくりと伸ばすことに特化したストレッチだけを行うことは向いていません。
トレーニング前に筋肉を伸ばしてばかりいては乾燥しかけた輪ゴムのように弾力が上手く発揮されにくくなります。
ストレッチで重要なポイント
- 伸ばす強さ
- 伸ばす頻度
- 伸ばす時間
伸ばす強さ
伸ばす強さに関しては痛みが強いと身体のセンサーが伸ばし過ぎと判断してしまい筋肉を縮めようとしてしまいます。
これは逆効果になってしまうので、身体が力まない痛みまでにとどめてください。
伸ばす頻度
伸ばす頻度はわかりやすく言うと1日30分1回より、1日3分10回の方が柔軟性は上がります。
10回が現実的でないとも取れますが1回よりも2回、2回よりも3回という感じで1回の時間よりも頻度を増やすことを心がけることを強くおすすめします。
伸ばす時間
伸ばす時間に関してですが、最も多い質問が「何秒伸ばせばいいですか?」です。
それぐらい世の中に色々な情報が巡っているということです。
これに関しては色々な見解がありますが、個人的には2~3呼吸を5セットぐらいから始めると効果的と思っています。
ストレッチは呼吸の仕方がポイントです。
では、実際にトレーニング前後でどうストレッチ方法が変わるかをお伝えしていきます。
まず、ランニング前の方法から説明していきます。
ランニング前の簡単ストレッチ
これからランニング前に持ってこいの2つのハイブリッドなストレッチをご紹介します。
この2つを選択した理由は以下の2つです。
- 動的ストレッチであること
- ふくらはぎを含めた下半身全体を複合的にストレッチできること
ランニング前に有効な動的ストレッチとハイブリッドストレッチ
動的ストレッチとは簡単に言うと伸ばしたポジションで静止することなく、動きの中で柔軟性や可動域を上げていく方法です。
筋肉の伸び縮みを交互に繰り返しながら徐々に可動域を上げて行くことで、ランニング前のウォーミングアップのような役割を果たしてくれます。
また、股関節、膝、足首などより多くの関節を同時に動かしていくことで、より多くの筋肉が複合的にストレッチされます。
ふくらはぎの張りや痛み、硬さはふくらはぎだけの問題ではありません。
股関節の動きの悪さ、太ももの裏の硬さなど色々な部分の影響を受けています。
カラダ全体を同時に統合的なストレッチをすることで、ふくらはぎへの負担も減り、他の部位の柔軟性や可動域も上がるので一石二鳥にも三鳥にもなります。
動的ストレッチも色々ありますが今回はこの2つをおすすめします。
インチワーム動画
スパイダームーブ動画
ランニング後の簡単ストレッチ
ランニング後はクールダウンなので、使った筋肉が硬くならないように動きや反動は使わずに性的なストレッチがおすすめです。
今回はふくらはぎをメインにしたストレッチとふくらはぎと非常に関わりの深い太ももの裏のストレッチをご紹介します。
実際に行っている様子を動画で確認していただくとわかりやすいと思います。
呼吸の仕方がポイントになるので、その点を意識しながら行ってみてください。
ふくらはぎから膝裏を狙ったストレッチ
ふくらはぎの上部から太ももの裏を狙ったストレッチ動画
ふくらはぎお手軽ケア
ストレッチする時間が作れない場合やストレッチが散発的になっていて、なかなか痛みが取れない場合などは塗ってケアできるnanoPDSボディメンテナンスクリームをおすすめします。
navisのお客様にもおすすめしていて、痛い部分や硬い部分に塗っていただくと痛みの緩和に一役買います。
ご興味がある方はこちらをご覧ください。
3.筋力・柔軟性に問題がなければ使い方が原因かも…
ランニングによるひどい筋肉痛は筋力や柔軟性の問題によって、引き起こされると述べてきましたが考えなければいけないことは、なぜ走り続けているのにいつまで経ってもランニングのための筋力がつかないのか?
なぜ同じように走って、同じようにケアしているのにふくらはぎに張りを感じず、痛みもなく、柔軟性が失われることなく走れている人が存在するのかということです。
カラダ全体の連動性が生まれる身体の使い方が重要
これらに大きく影響してくるのが “カラダの使い方” です。
実はこれが “筋肉の使い過ぎ” を招く最も大きいな要因と考えるべきです。
この問題が「①筋肉の質の低下」「②柔軟性の低下」にも大きく関わっています。
マラソン選手の走りを見たことある人は「非常に速いスピードで走っているのに力みがなく、軽く走っているように見える」と思ったことありませんか?
プロのアスリートの動作は誰が見てもキレイで力みがないと感じると思います。
カラダ全体が連動しているほど動作に無駄がなくなり、局所的にどこかに負担がかかるということは少なくなります。
エネルギーのロスも少なく、マラソンにおける持久力やスピードにも大きく関わってきます。
この動作の連動の土台となる部分が足部(足裏)・足関節(足首)です。
また、ふくらはぎに最も影響を及ぼす関節が足関節(足首)です。
多くの方がランニングの際につま先で地面を蹴って走っているのではないでしょうか?
これこそがいつまでもふくらはぎの張りと痛みを引き起こしている原因です。
ではランニングにおけるふくらはぎの働きを見ていきます。
ランニングにおけるふくらはぎの働き
つま先立ちになるとわかると思いますが、この時ふくらはぎは硬くなってポコッと筋肉が出ると思います。
つまり、足首を伸ばす動作(背伸び)でふくらはぎの筋肉が使われます。
走っている姿を思い返してみてください。
足が地面から離れる最後の瞬間はつま先で地面を蹴るような画を思い出しませんか?
もし、走るときにつま先で地面を蹴って走るものだと思っていたのであれば、これが一番の過ちであり、大きな問題点となります。
ふくらはぎで蹴っているように見えるのですが、実は結果的に最後に離れるのがふくらはぎであって、見た目と実際の感覚は大きく異なります。
本来どこを使って走らなければならないのか?
“股関節” です。
よって、ランニングをするとふくらはぎの筋肉痛が痛すぎて走れなくなるというのは筋力不足よりも、柔軟性の低下よりも、股関節が上手く使えていなかったために起こっていたのです。
つまり、ふくらはぎの本来の働きは「使わない」であり、「結果的に使わされる」が正解です。
もちろん、ランニング前後のウォーミングアップやケアは絶対必須です。
しかし、それ以上に大切なのは走るときの股関節の使い方とその動作をカラダに刷り込むという作業です。
まず、正しく股関節、ふくらはぎを使えるための前提条件については以下の2つになります。
- 股関節のインナーマッスルを使えるようにする
- 足の指を使えるようにする
これら股関節を使えるようにするトレーニングについてはこちらの記事にて詳しく記載しております。
太ももの横の出っ張り(大転子)を改善する簡単ヒップアップトレーニング
ふくらはぎの張り・痛みの予防方法と習慣
予防方法に関しては、上述した内容にもあるようにカラダの使い方を日常的に意識して習慣化することです。
「股関節のインナーマッスルを使えるようにする」「足の指を使えるようにする」に関する記事を読まれた方はこの内容を日常的に取り組んでいただければと思います。
どちらかというと、これらは筋肉の使い方がメインになっていますが最も効果的な予防方法は「骨の使い方」を意識することです。
ほとんどの方が骨を意識したことがないと思うので、ピンと来ないと思います。
まず、習慣化して欲しいのが「骨で立つ」感覚です。
これが感覚としてできるようになってくると非常に楽に立てるようになります。
では、実際にどういう意識をすれば骨で立てるか説明していきます。
- 足裏の意識
- すねの意識
- 膝の意識
- 股関節の意識
- 上半身の意識
この5つがどういう位置関係にあるかを意識して立って行きます。
「骨で立つ」感覚は動画でご覧ください。
「骨で立つ」という文字通り、筋肉を使わない感覚とも言えます。
立つことに筋肉を使っていたらそれだけで張りが出たり、動くとなるとさらに筋肉を使うことになるので負担が増え、痛みに繋がることも多々あります。
理想は省エネなカラダです。
立つ、座る、歩くなどのエネルギー消費がそこまで多くないちょっとした日常動作で、いかに楽に、どれだけ負担なく行えるかでふくらはぎの張りや痛みは起こりにくくなります。
「骨で立つ」=「張り・痛みがでにくいカラダ」=「省エネなカラダ」
立ち方が変わると走り方も変わります。
もっと言うと、立ち方が変わらないと何も変わらないと言えます。
まとめ
ランニングでふくらはぎの張りや痛みを感じている方はまず、ふくらはぎのどの部分が痛いかを確かめてください。
そして、トレーニング前後のストレッチやケアを正しく行う習慣を作り、カラダの使い方を見直し、「骨で立つ感覚」「股関節のインナーマッスルを使えるようにする」「足の指を使えるようにする」この3つが根本的な解決になります。
ふくらはぎの張りや痛みに悩まれている方はぜひトライしてみてください。
最後に実は美脚を作ることと、運動のパフォーマンスを上げるための下半身へのアプローチはほとんど変わりません。
美脚になる方法の原理を理解し、これをマスターして、美脚ランナー目指しましょう。
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