股関節痛があるランナーのための痛みの原因と改善方法

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ランニングはハードなスポーツではないためどんな方でも気軽に始められるスポーツと言えます。しかし、それとは逆に身体を痛めるリスクも非常に高いスポーツでもあります。
痛みは身体が最初に教えてくれる危険信号です。痛みが出たらまず、診察、そして原因の追究です。多くの方が診察は受けるのですが、一時的に痛みが緩和したり、消失したりするとそれで終わってしまう方が多くないでしょうか?
重要なのは対処療法で終わるのではなく「原因の追究」「再発防止」を行うことです。ランニングによって繰り返す股関節の痛みの原因は至ってシンプルです。単純に
「股関節を正しく使えていない」
と言えます。間違った使い方で走り続けた結果、痛みや違和感などの不具合が起こることになります。
道具も一緒で使い方が荒かったり、違う用途で使ったり、メンテナンスを怠るとすぐに壊れてしまいますよね。それと一緒です。身体も丁寧に正しく使うことで壊れにくく長持ちします。
ランニングによって繰り返す股関節の痛みの対処法
股関節の痛みの対処法は大きく分けると2つです。
- 痛みの原因となる筋肉のケア(リリース、ストレッチ)
- 股関節を正しく使う方法をマスターする。
考えられる痛みの原因
そして、考えられる痛みの原因となる部分は以下の4つです。
- 梨状筋が硬くなっている。
- 大腰筋が硬くなっている。
- 内転筋が硬くなっている。
- 大腿直筋、大腿筋膜張筋、縫工筋の癒着。
以下、痛みの部分別に症状、リリース、ストレッチ、エクササイズの方法をお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
梨状筋が硬くなっている方の対処法
梨状筋が硬くなっている方は股関節でも後ろ側(お尻)に痛みを感じるという方です。梨状筋の場所を下記図にて掲載しておきますのでチェックしてください。
メンテナンス方法
この梨状筋に関してはリリースが有効になります。第三者に指で押してもらうのが一番手っ取り早いのですがセルフで行う場合は非常に押しにくい場所になりますので、ゴルフボールを使うことをおすすめします。
ゴルフボールを梨状筋に当ててゴロゴロ押すか、ゴルフボールを床に置いて梨状筋を押し当てて身体を転がすかで梨状筋は緩みます。痛みが激痛から心地よくなる程度1分ぐらいを目安に行ってみてください。
この梨状筋に関しては、日頃使うことが出来なくなっていることが多い筋肉です。よって、硬くなった梨状筋をリリースした後に鍛えることが必要になります。30回を目安に余裕がある方は50回頑張ってみてください。もう痛くて上がらないとなればOKです。1セットで十分効きます。
大腰筋が硬くなっている方の対処法
大腰筋が硬くなっている方は股関節に痛みを感じるというよりは、太ももの前側の付け根に重さやダルさ、脚の上がりにくさなどを感じるという方です。どちらかというと大腰筋の硬くなり働かなくなったことが原因で大腿直筋や大腿筋膜張筋がその代償を払い過剰に働くことを余儀なくされて痛くなるというパターンが多いです。大腰筋の場所を下記図にて掲載しておきますのでチェックしてください。
大腰筋に関しては日頃座っていることが多い方、運転、デスクワークなど… 股関節が曲がっている時間が長い方が硬くなりやすい筋肉になります。
この筋肉が硬くなると走るときに太ももが引き上げにくくなるということが起こってきます。最近歩いていてもよくつまずくという方は要注意です。おすすめの大腰筋トレーニングはもも上げです。
メンテナンス方法
下腹部にダルさを感じてくれば正しく行えています。太ももの付け根、股関節がしんどいという方は違う場所を使っているので、太ももが “みぞおち” から付いているとイメージしてそこから太ももを上げるように行ってみてください。
もも上げをして結構、上がりにくいと感じた方は大腰筋のリリースを行ってから再度もも上げを行ってみてください。きっと違いが明確になります。
大腰筋も第三者に指で押してもらうのが一番手っ取り早いのですが自分でも押せる場所なのでぜひトライしてみてください。ただし、大腰筋は相当深層の筋肉なので結構指を押し込まないと届きません。
感覚としては腸を押しているような感じで重く痛い感じです。ここも心地よい痛みに変わってくればOKです。1分ぐらいを目安に行ってみてください。
内転筋が硬くなっている方の対処法
内転筋が硬くなっている方は股関節を曲げた状態で内側に倒した時に太ももの付け根の内側に詰まりや痛みを感じる方です。内転筋の場所を下記図にて掲載しておきますのでチェックしてください。
メンテナンス方法
内転筋に関してもリリースが有効になります。ここも第三者に指で押してもらうのが一番手っ取り早いのです一人でも出来る方法をご紹介します。
太ももの付け根の内側に硬めの筋肉の束のようなものがあるのでそこをつまんで揺すったり、押すことで内転筋は緩みます。最初はつまむだけで痛いのですが揺すっても心地よい痛みになるぐらいまで1分ぐらいを目安に行ってみてください。
リリースしたのちに、ストレッチを行うと内転筋は伸びやすくなります。一人で内転筋を伸ばす方法も行ってみてください。心地よい痛みの場所で20~30秒行い一旦戻して、また20~30秒行ってみてください。
リリース、ストレッチを行えば筋肉は良い状態になりますので、硬く弱くなっている内転筋を強化しましょう。用意するものは小さめの柔らかいミニボール、これがなければ枕やクッションでも構いません。
これを膝の内側に挟み仰向けでお尻上げを行います。内転筋を使った状態でお尻を使えるエクササイズなので連動性を高めた状態で鍛えられます。内ももとお尻がしんどくなるまで20~30回2セットを目安に行ってみてください。
大腿直筋、大腿筋膜張筋、縫工筋が癒着している方の対処法
大腿直筋、大腿筋膜張筋、縫工筋が癒着している方は股関節を目いっぱい曲げると太ももの付け根に詰まりや痛みを感じる方です。この3つの筋肉の癒着ポイントを下記図にて掲載しておきますのでチェックしてください。
メンテナンス方法
大腿直筋、大腿筋膜張筋、縫工筋の癒着に関してもリリースが有効になります。ここも第三者に指で押してもらうのが一番手っ取り早いのです一人でも出来る方法をご紹介します。
上記の癒着ポイントを梨状筋同様ゴルフボールでゴロゴロ押し当てながら転がすか、ゴルフボールを床に置いてこの癒着ポイントを押し当てて身体を転がすかで梨状筋は緩みます。心地よい痛みになるまで1分ぐらいを目安に行ってみてください。
この部位に関しては本来、梨状筋や内転筋、大腰筋が正常に働いていれば癒着することはないのでトレーニングは行わず、リリースを行うだけで構いません。
股関節を正しく使う方法をマスターしましょう
補足ですが前述した痛みの原因となる筋肉のケア(リリース、ストレッチ、エクササイズ)は分かりやすいように部位ごとにまとめてリリース、ストレッチ、エクササイズを記載しましたが硬くなりやすい筋肉のリリースやストレッチを先に4か所まとめて行ってから各筋肉のエクササイズに移ることをおすすめします。
これらの筋肉が正常な状態に戻ることが股関節を正しく使うための条件となります。痛みの原因となる筋肉のケアを行い、これらをクリアできれば準備完了です。では、これらの筋肉がまた硬くならないように正しい使い方をマスターし、日常的な習慣をにして行きましょう。
筋肉が硬くならないコツは日常動作の改善にあり
日常動作で最も大きな割合を占めるのが「歩く」です。これを正しく行うことが出きれば筋肉が偏って硬くなり、股関節が痛むこともありません。さらに言うと正しい歩き方をマスターすれば誰でもヒップアップするようになります。その歩き方を知りたい方はこちらからご覧ください。
まとめ
ランニングで股関節を痛めてしまった方の原因は間違った走り方、さらに言うと間違った歩き方を身体が覚えこんでしまっていることで筋肉のバランスが崩れ、偏った硬さが生まれ、痛みを引き起こしています。まずは上述した筋肉のケアを行い正しい歩き方をマスターすることから始めてみましょう。
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全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定資格 NESTA-PFT 取得
美尻トレーナーとしてMBS系列「痛快!明石家電視台」「メッセンジャーの○○は大丈夫なのか?」に出演