足首の筋肉と骨の重要性や動きを徹底解説[専門性高]
Contents
カラダの中で「首」がつく場所は3つあります。
「首」「手首」「足首」
首がつく場所はカラダの中でも非常に重要と言われており、東洋医学的には冷えを改善するツボが首や足首に多く存在します。
さらに、足は生活していく上で必ず地面に着いている場所であり、カラダの土台となります。
ですので、足首の筋肉はそういう意味でも非常に重要であり、足首の筋肉の状態によってカラダの調子が変わると言っても過言ではありません。
今回は足と言うパーツの中でも「足首」に関して掘り下げて解説して行きたいと思います。
今回の記事では、かなり専門的な足首についての解説になりますので、勉強という意味で、図と骨名を照らし合わせながらご覧ください。
また、説明が難しいという方には、下の方に足首の筋肉がトータル的に整えられるストレッチ動画を掲載していますので、難しいという方はそちらをご覧ください。
ではまず初めに、カラダの土台となる足首がどのような構造になっているのか、また、足首の筋肉がどのような働きをするか見ていきましょう。
足首の構造
まず、足首とは正確にはどこを指すのか?
具体的に言うと距骨(きょこつ)と脛骨(けいこつ)・腓骨(ひこつ)で構成される関節を距腿関節(きょたいかんせつ)と言い、距骨(きょこつ)と踵骨(しょうこつ)で構成される関節を距骨下関節(きょこつかかんせつ)と言います。
俗に足首と言われているのが前者の距腿関節ですが、距骨下関節も非常に重要な関節です。
その他にも脛骨と腓骨で構成される脛腓関節(けいひかんせつ)という関節も足首の動きに関与してきます。
これらの関節を動かしているのが足首の筋肉になります。
では、ここからが本題です。
実際に足首の筋肉、そしてその動きや働きについて説明していきます。
足首の動き
足首の動きは6種類あります。
距腿関節の動き
背屈(はいくつ)
この動きは足先を足首(距腿関節)から曲げてスネ(脛骨:けいこつ)に近づける動きです。
その可動域は0~45°です。
底屈(ていくつ)
この動きは足先を足首(距腿関節)から伸ばして地面の方に近づける動きです。
その可動域は0~20°です。
距骨下関節の動き
回内(かいない)
この動きはのちに詳しく説明しますが足首の「外返し」の動きです。
その可動域は0~20°です。
回外(かいがい)
この動きはのちに詳しく説明しますが足首の「内返し」の動きです。
その可動域は0~30°です。
内転
この動きはつま先が「内側」を向く動きです。
その可動域は15~25°です。
外転
この動きはつま先が「外側」を向く動きです。
その可動域は5~15°です。
主に、
距腿関節(きょたいかんせつ)が背屈・底屈を担当
距骨下関節(きょたいかんせつ)が回内・回外・内転・外転を担当
しています。
また、背屈・底屈の動きでは脛腓関節(けいひかんせつ)も一緒に動いていきます。
よって、腓骨側の筋肉が硬くなっていると腓骨が上手く動かないために背屈・底屈の動きが出にくいということも起こります。
距骨下関節の回内・回外という動きはやや特殊なので後ほど、説明していきます。
これらの動きがミックスして足首が色々な角度に曲がったり、回ったり、複雑で3Dな動きが可能になります。
足首が滑らかに思ったように動かすためには足首の筋肉が正常に働く必要があり、複数の筋肉が協調して働くことで滑らかな動きが可能になります。
では、次にその足首に関わる筋肉について説明していきます。
足首の筋肉
まず、足首の動きに関する筋肉を一通り羅列していきます。
腓腹筋(ひふくきん)
ヒラメ筋
足底筋(そくていきん)
前脛骨筋(ぜんけいこつきん)
長腓骨筋(ちょうひこつきん)
短腓骨筋(たんひこつきん)
第三腓骨筋(だいさんひこつきん)
長趾伸筋(ちょうししんきん)
長母趾伸筋(ちょうぼししんきん)
後脛骨筋(こうけいこつきん)
長趾屈筋(ちょうしくっきん)
長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)
これらが足首の動きに関連する筋肉です。
たくさんあって、本当にややこしい名前ばかりで頭に入りづらいですよね・・・
これらの筋肉の働きについて詳細に解説していきます。
※今回は足首にフォーカスして説明していますので膝や足の指に関する働きに関しては触れません。
足首の各筋肉の働き
背屈 | 底屈 | 回内 | 回外 | 内転 | 外転 | |
腓腹筋 | ☑ | |||||
ヒラメ筋 | ☑ | |||||
足底筋 | ☑ | |||||
前脛骨筋 | ☑ | ☑ | ☑ | |||
長腓骨筋 | ☑ | ☑ | ☑ | |||
短腓骨筋 | ☑ | ☑ | ☑ | |||
第三腓骨筋 | ☑ | ☑ | ☑ | |||
長趾伸筋 | ☑ | ☑ | ☑ | |||
長母趾伸筋 | ☑ | ☑ | ☑ | |||
後脛骨筋 | ☑ | ☑ | ☑ | |||
長趾屈筋 | ☑ | |||||
長母趾屈筋 | ☑ |
足首に関与する筋肉の働きはこの表の通りです。
それぞれの筋肉がどこから始まり、どこまで付いているのかで筋肉の役割が決まります。
よって、足首をどう動かすかによって働く筋肉は変わります。
逆に、どの筋肉が働けばどう動くかが決まります。
足首に関わる筋肉は上記の足首の筋肉の画像を見ていただければわかるように主に脛骨(けいこつ)や腓骨(ひこつ)から始まっており、足首をまたいで踵骨(しょうこつ)や足根骨(そっこんこつ)、中足骨(ちゅうそくこつ)、足趾(そくし)などに付着します。
本当の理想を言うと、これら全ての筋肉が滞りなく自然に機能する状態であることが求められます。
これはどういうことかと言うと、
- 背屈
- 底屈
- 回内
- 回外
- 内転
- 外転
という全ての動きが解剖学的な機能的角度(先記載「足首の動き」の項参照)まで動くということです。
足首の筋肉はかなり複雑に入り組んでいます。
これを一つずつバラバラに動かすという意識は不自然であり、効率的ではありません。
「どの方向に動かすか」という意識で足首の筋肉を使った方が自然に働きます。
足首の筋肉は日常の動作の癖や悪しき習慣によって、左右差や筋力差が生まれ、
- 踵(かかと)が傾く
- 重心が外側荷重になってしまう
- ふくらはぎの外側ばかり筋肉がついてしまう
ということが起こってしまいます。
このような癖や悪しき習慣によって、硬くなる筋肉が出てきたり、使われない筋肉が出てきてしまいます。
これが動きを悪くしたり、脚のラインを崩したり、痛みを生んだりしてしまうことになります。
自身の日常生活パターンがどのような習慣化を思い返してみてください。
- 「ヒールをよく履く」→常につま先下がりの底屈位が習慣化しているので背屈が行きづらくなる
- 「頻繁に同じところを捻挫していた」→捻挫癖によって、つま先が内側に向きがちで足首の外側が緩く、常に回外している
など、まずは「どの動きがやりにくいのか」を知ること、見極めることが大切です。
実際に、足首の6つの動きのどれが行きにくいか、「足首の動き」の項で示している各動きの角度を参考に判断してみて下さい。
感覚的にこの動きが行きにくいという判断でも良いと思います。
足首の肝は距腿関節(きょたいかんせつ)
足首と言うパーツは専門的な言葉で言うと、脛骨・腓骨と距骨で構成されている距腿関節のことを指します。
この関節は背屈と底屈の動きを担当しています。(「足首の筋肉」の項、「足首の各筋肉の働き」参照)
この背屈と底屈の動きは脛骨と距骨が良い位置関係にあることで正常な動きが可能となります。
脛骨と距骨で構成されている関節は蝶番関節(ちょうつがいかんせつ)の変形で、ラセン関節という構造に分類されます。
脛骨の下にスッポリ距骨がハマるよう形になっていることが良い位置関係と言えます。
関節の頭が円柱になっていますが運動の方向が運動軸に対して少し斜めになるため、螺旋階段を登るように回転に伴い軸の方向へズレる特性を持ちます。
また、距骨は何の筋肉も付いていない唯一の特殊な骨です。
よって、距骨(きょこつ)は脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)や踵骨(しょうこつ)、立方骨(りっぽうこつ)、舟状骨(しゅうじょうこつ)、楔状骨(けつじょうこつ)など周りの足根骨(そっこんこつ)との関係性によって位置が変わることになります。
この骨の関係性を決めるのが足首周りの筋肉になり、どの筋肉が硬いのか、または弱いのかで、筋肉の前後、内側と外側、インナーマッスルとアウターマッスルなどのアンバランスが生まれ、距骨はズレて行きます。
このアンバランスは再三、言っているように日常生活の癖や運動パターンによって引き起こされます。
このように距骨はズレてしまい距腿関節が上手く働かなくなってしまいます。
こうなると、足首の背屈、底屈という動きに制限がかかってしまい、つまずく原因になったり、足首は使えなくなるので筋肉が硬くなっていきます。
距腿関節(きょたいかんせつ)と距骨下関節(きょこつかかんせつ)は密接な関係
距腿関節は上述した通りですが、距骨下関節は距骨(きょこつ)と踵骨(しょうこつ)で構成されています。
そして、この2つの関節は連動して動く二重関節機構になっています。
これが密接な関係と言える要因になります。
距骨下関節は回内、回外、内転、外転という足首の動きを担います。
「足首の動き」の項でも述べたように非常にややこしい動きが回内、回外という動きです。
足が宙に浮いた状態では、
距骨下関節の回内=踵骨の背屈・外転・外反
距骨下関節の回外=踵骨の底屈・内転・内反
このような踵骨の複雑な動きの組み合わせとなります。
足が地面に着いた状態では、同じ回内、回外でも骨の動きが変わります。
距骨下関節の回内=距骨の底屈・内転+踵骨の外反
距骨下関節の回外=距骨の背屈・外転+踵骨の内反
このような距骨と踵骨の組み合わせのさらに複雑な動きとなります。
骨の動きが関節の動きを作る形となり、骨の位置関係で関節のハマり具合、角度、動きも変わってくることになります。
これを少し掘り下げて説明すると、関節が勝手にズレるのではなく、骨自体が3Dに動いてしまうため、これによって足首の筋肉が引っ張られたり、縮んだりして関節面がズレることになります。
例えば、立っていても、座っていても足首をいつも外側に倒してしまう癖がある人は足首が内反方向に踵骨が倒れて距骨下関節がズレて、さらに距骨は内側に押し出されるようにズレて距腿関節が上手く働かないという悪循環に陥ります。
美脚の観点から見る足首
ふくらはぎを細くしたいという女性は膝から下をシュッとさせて、アキレス腱が見えるぐらい足首をくびれさせていと思っているはずです。
このポイントも間違いなく足首です。
中でも「距骨(きょこつ)」です。
距骨がハマっていないことが足首の筋肉を正常に機能させなくなり、アキレス腱を隠してしまう根本的原因と言えます。
距骨が適切な位置にハマっていないとで脛骨の角度は傾きます。
これが脚のラインを崩し、X脚やO脚の原因にもなります。
距骨がハマっていないと、脛骨が真っすぐに立つことはありません。
よって、脛骨は斜めのまま保つことを強いられるので腓骨側の筋肉が過剰に頑張ることになり、ふくらはぎの外側が張り出してしまいます。
逆に内側があまり使われなくなり、膝下O脚になり、見た目の筋肉のバランスは悪くなってくるので美脚とは程遠い脚のラインになってしまいます。
足首の筋肉が正常に働くためには距骨がしっかりハマった状態で距腿関節が正常に機能することは絶対条件です。
動きの観点から見る足首
軽快に運動やスポーツを楽しみたい、スポーツのパフォーマンスを上げたいという方にとっても、足首の筋肉が使えるということは非常に重要なポイントになります。
動きの観点から見ても距骨がハマっていないということがどれだけ運動パフォーマンスを低下させるか計り知れません。
特に、運動においてはカラダの各関節がしっかりと役割を全うして、初めて軽快な動きが可能となります。
関節によって、安定性がメイン(スタビリティ)、可動性がメイン(モビリティ)になる関節が存在します。
必ず、各関節の役割が上記の図のように、安定性(スタビリティ)と可動性(モビリティ)が交互になっていなければカラダは正しく機能しません。
これをジョイントバイジョイントアプローチと言います。
ジョイントバイジョイントアプローチの観点から見ると、足首は主に可動性を得意とした関節であり、距骨が上手くハマっていなければ、可動も上手く行きません。
それどころか、距骨がハマっていないので足首を安定させようとするため足首の筋肉が可動のためではなく、「安定」のために頑張ってしまい硬くなるという悪循環に陥ります。
陸上スポーツの場合、地面に接地しているのは足であり、足首が動かないというのはあまりにも致命的な弊害です。
重要なのは足首が柔らかいことではなく、正常に働くかどうかです。
距腿関節がハマっていないと足首の背屈、底屈が難しくなり、走ること、跳ぶことに大きな影響が生じます。
また、距骨下関節がハマっていないと踵が安定しないので細かい動きの精度が落ちてしまいます。
大切なのは足首の筋肉を鍛えることではなく「使えるようにすること」
足首を細くしたいなら、足首にくびれが欲しい、美脚になりたい、怪我をしない丈夫な足首にするために、やるべきことはたった一つ。
足首を使えるように距腿関節、距骨下関節を正常な位置に保ち使えるようにすることです。
唯一無二の足首の筋肉ストレッチ
カラダは筋膜と言うシーツのような膜で、ひとつながりになっています。
この繋がりを意識し、最大限利用するストレッチをすることで初めて、生活や、運動、スポーツの場面で機能してきます。
単一の筋肉のストレッチだけをしたり、単に関節可動域を上げることだけに意識が行くと実際に動作で使えないということに陥ります。
カラダ全体の張力を感じながらその中で距骨のハマりや脚のライン、筋膜の繋がりを意識することが大切です。
正しい意識と正しい感覚、正しい方法でストレッチを行えば、脚のラインも整い、運動連鎖、カラダのつながりを感じられると思います。
これらをいっぺんに作れるストレッチをご紹介します。
まとめ
足首の筋肉は「距骨」のハマりが最も重要であり、距骨がハマることで距腿関節、距骨下関節が正常に働きやすくなります。
この2つの関節が機能的に働くことで、足首が様々な方向へ3Dに動くことが可能になります。
足首の筋肉は非常に重要な役割を担っています。
足首の筋肉を使えるようにこの記事を参考にアプローチしてみてください。
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