基本動作が変わるとスポーツが変わる!親子で始めるファンクショナルトレーニング
動ける土台を作るファンクショナルトレーニング
スポーツの上達には技術の上達という視点があります、その技術の前にあるのが、基本的な動きであるムーブメントです。
ムーブメントは基本的な身体の使い方になり、その基本ができていない状態で、スポーツに必要な複雑で高度な動きはできるはずもなく、とても難しく感じます。さらには、基本的な身体操作もままなっていないのでケガにまで発展しかねません。
うまく股関節が使えていないのに速く走れるか?>当然速くは走れないんです。
こういった時にうまく使えていない、関節や筋肉、骨の向きなどそういった基本的な部分を正しく使っていこうというのがファンクショナルトレーニングになります。
ファンクショナルは「機能的」という意味で、身体のパーツである肩・肘・股関節・膝・足首などがそれぞれ本来持っている機能をきちんと使えるようにしてあげることで身体が本来持つ運動機能を発揮できるようになります。
子どもの場合、遊ぶという行為が自然と機能的にパーツを使う訓練にもなってきます。
例えば整地されていない凸凹の地面で遊ぶとき、自然と安定させるために足裏や足首を上手に使うようになります。
遊具でいえば、大人では考え付かないような登り方をしたりしますよね?(危ない時もありますが)この時にも、その時の身体の持てる機能を最大限使って動きを行っています。
身体の機能を最大限使うというトレーニングを遊びの中で自然と行えるのも子どもならではと言えます。
親子で試したい5つのファンクショナルトレーニング
1.重力を感じるファンクショナルトレーニング
地球に生きている以上重力の影響は必ず受けます。
ですので重力とうまく付き合うことは身体を上手く使うポイントになります。
重力とうまく付き合えていない子どもの例を出すととにかく「力んでいる」という見え方につきます。
- 肩が上がっている
- 膝が突っ張っている
何かしらの緊張状態にあるという姿勢が一番よく力みとして現れます。
プレッシャーなのか、ゲームのしすぎなのか、集中している時によく力みやすくなります。
本来ずっと集中するなどできるわけがありません、それなのにその緊張状態が続いているのは決して良い状態とは言えません。
ある意味集中しすぎない方が身体本来の機能が発揮しやすいとも言えます。
力みから解放する動き
●「片足立ち」
まずは片足立ちをしてみてください。
この時のポイントが手を使ってバランスを取らずに、頭の位置だけ止めるような意識を持ちます。
そして安定してきたら、その次は目を瞑って方足立ちをします。
「片足立ちで止まってみよう」という声かけがいいですね。
これで安定して立てると力みが外れている状態です。
簡単なのでぜひ子供と一緒に行ってみてください。
●「呼吸」
力みでもう一つポイントになるのが呼吸になります。
力んでいる子供の特徴としては「呼吸が浅い」場合が多いです。
肩で呼吸している子は特に注意が必要です(胴体が使えていないため)。
数分間だけ瞑想など一緒にしてみるのも面白いと思います。
力んでいる子はじっとしていられないので、ゆっくり呼吸に意識を持っていってみるだけでも自然と力が抜けていく良い方法になります。
2.分離と共同
身体の機能を正しく変えるということは、身体の関節が正しく使えているということです。
人間の関節は260以上あります(数え方にもよりますが)その関節が使えていない箇所が少なければ少ないほど滑らかで繊細な動きができます。
それが日常生活で一定の関節しか使っていないと身体に歪みが出てしまいます。
指自体も指先だけでなく多くの関節があり、それらを立体的に使うことでより滑らかな動作を可能にしてくれます。
また主要な関節には、モビリティ(可動)とスタビリティ(安定)とに大まかに役割が分けられており、それがそれぞれ分離と共同という意味合いで機能的に動く働きをしてくれています。
大きな関節でいくと「肩の関節」ですが、これは大きく動くのでモビリティ(可動)となり、隣り合う肘はスタビリティ(安定)、隣り合う関節が可動と安定を順番に担ってくれているので正しく身体が動かせるという訳です。
これが肘も大きく動かしながら投げてしまったりなどすると、肘を痛めたりするということになります。
3.キネティックチェーン(運動連鎖)
キネティックチェーンを簡単にいうとつながり・連動という意味になります。
身体が連動して上手く使えているかというところになります。
考え方として、何か上手くいかない場合はこの連鎖が切れているという考え方になります。
輪っかが切れてしまうと円としての機能を持てなくなり、「どこが切れているかを見つける」と考えるとわかりやすいですね。
うまく投げられない子どもがいた場合、どこの連鎖が断ち切れているのかを見つけて繋げてあげることで上手く連動して投げれるようになるという訳です。
4.3面運動
3面運動というだけあって、動きは3つの面で成り立ちます。
- 平行の面が「前額面:ぜんがくめん」
- 垂直の面が「矢状面:しじょうめん」
- 輪切りの面が「水平面:すいへいめん」
と言います。
基本動作である「歩く」もこの3面で成り立つことが言えます。
- 前に進むのが矢状面
- 横の体重移動が前額面
- ひねりが水平面
となります。(掲載中の動画の中でご確認いただけます11:20あたり)
この3面が上手に機能すると立体的な動きとなり、スムーズな動作へとつながります。
投げるのが苦手な子供の場合、見ていてなんだかぎこちないなと思うこともあるかと思います。
そんな時はこの3面のどこかが機能していないかを見てあげると、改善のヒントにもなります。
5.力の吸収と力の発揮
力の吸収と力の発揮とは簡単にいうと、動作の前の「ため(ローディング)」と「実行(アクション)」をスムーズに行うという動作になります。
ジャンプを考えてみてください。
単純にためた方が高く飛べますよね?プロになるとこのための動作とジャンプを瞬時に最高出力で行うので質の高いジャンプを行えるという訳です。
子供にこれを教える時には、上に上に飛ぶのでなく、下をめいっぱい蹴るというふうに伝えてあげるとための効いたジャンプをすることができます。