ゴルフで腕の力をつかわないための身体のつかい方トリセツ

ゴルフ初心者から上級者まで、プロでも悩み続けるテーマがいわゆる力みで、その中でも特に多いのが腕の力をつかいすぎてしまう問題になります。
腕の力をつかい過ぎてしまうと…
- スイングがぎこちなくなる
- スライスや引っかけなどのミスショットが増えてしまう
- フィニッシュまで振り抜けず飛距離が落ちてしまう
- 18ホールまわると腕がパンパンに疲れてしまう
などのことが起きやすくなってしまいます。
ゴルフクラブはレバレッジを効かせる道具なので、腕の力に頼らなくても正しい身体の動きができれば自然にヘッドスピードは上がる様に出来ていますし、腕の力をつかわない様にするというよりも腕の重さを利用するとさらにヘッドスピードを上げることが可能です。
今回の記事ではゴルフで腕の力が入りやすい方むけに、スイング時の身体のつかい方トリセツと題して、考え方やイメージ、実際のつかい方をお伝えしていきます。
腕の力を使いやすい人の特徴
- 意識が出力ばかりで脱力の感覚がない
- 胴体を使う感覚を備えていない
- 腕のしなりを生む原理を理解していない
大きな括りで云うとこの3点が腕を使いやすい人の特徴です。
意識が出力ばかりで脱力の感覚がない
腕を使いやすい状態から脱するために最も重要な要素が脱力です。単純にずっと力が入った状態だと筋肉は緊張しっぱなしになるため疲れやすいですし、いざスイングのインパクトという時に爆発的な力が生まれません。
とはいえ、多くの人が力んでいるという感覚を持っていないために脱力ができないと感じています。(脱力に関する内容は以下の記事もご参照ください)
まず、自身が力んでいるという認識を持つこと。そこから脱力とはいかなる感覚かを感じること。脱力した状態で動く感覚を身につけること。このプロセスを踏まないと腕を使いやすい状態のまま腕の重さを利用したスイングは難しくなります。
胴体を使う感覚を備えていない
そもそも、脱力できない理由は胴体を使う感覚を備えていないからです。
腕は身体の中心である胴体についており、胴体を構成しているのが骨盤、背骨、肋骨、胸骨、肩甲骨、鎖骨です。(首、股関節も含む)
身体の最も大きな部分である胴体を使えないために、そのパワーを腕で生むしかないというのが腕の力を使う人の最大の特徴で、これがいわゆる…
- 体幹が使えていない
- 中心から末端へ力が伝わらない
- 身体が連動していない
という状態になります。
腕のしなりを生む原理を理解していない
腕の力を使いやすい人は、筋力とは重力・遠心力・慣性力という3つの力を利用できておらず、これらの力を利用することが腕の力を使わない最大のポイントです。そして、この3つの力を利用するために胴体力を身につけることが必須になります。
身体の使い方にも原理原則が存在し、この理屈を理解し無意識化するまで実践し続けることで理にかなった力まないスイングが可能になります。そして、このスイングの方がコンタクト率、コントロール、飛距離が間違いなく上がるばかりか、疲れにくくケガもしにくくなります。
力まないスイングをつくる方法
- 重力・遠心力・慣性力の理解
- 胴体力を身につける
上述してきた通り、まずは3つの力の使い方を理解することから始まります。そして、これらの力を利用するためにどのように胴体を使うかを理解し身につけていきます。
『重力』『遠心力』『慣性力』の理解
まず、冒頭に述べたように脱力が重要なポイントであり、それに必要なのが重力を感じることです。重力を感じることで、高さによって生まれる位置エネルギーを利用することが可能になります。(ボール落とす位置が高ければ高いほど落下スピードは速くなり、落ちた時の衝撃も大きくなるエネルギーのことです。)
そして、この位置エネルギーを運動エネルギーに変換することが力を生む1つの要素です。
ゴルフのスイングの場合この過程で遠心力が生まれます。(ブランコのような振り子運動を思い浮かべてみるとわかりやすいと思います。) 重力によって高いところから低いところに落ちる過程で遠心力によって前や後ろに振り子のように振られます。
これは支点があることによって前後に振られるという現象となっているので、ゴルフのスイングに置いても、その支点をどこに置くかで腕を使いやすくなるか否かが決まります。(支点については後ほど解説します。)
重力によって遠心力が生まれたら、その遠心力を急激に止める慣性力で爆発的な力を生みます。慣性力とは、例えるなら車やバイク、自転車に乗っている時に強めにブレーキを踏むと身体が前に倒れ飛びそうになる力のことです。
スピードが速ければ速いほど、ブレーキが急であればあるほど速く遠くに身体が前に飛び、慣性力は強くなり、これをスイングに当てはめると遠心力が大きければ大きいほど、慣性力は強くなるということです。
これら全てをまとめると、ブランコのようにクラブを振り上げ、振り下ろし、車の急ブレーキのようにヘッドを走らせるというイメージになり、これを身体のパーツに当てはめていくと、ブランコの支点は、胸骨(胸鎖関節)、インパクトの瞬間の急ブレーキの支点は股関節になり、このイメージを持つことが非常に重要です。
『胴体力』を身につける
では、実際に重力・遠心力・慣性力を利用するための身体の使い方をお伝えしていきます。
この3つの力を最大限に引き出すために必要なのが胴体の使い方であり、それを胴体力と表現しています。先程、ブランコの支点は、胸骨(胸鎖関節)、インパクトの瞬間の急ブレーキの支点は股関節とお伝えしました。(先ほど述べた通り腕の支点が胸骨(胸鎖関節)、胴体の回旋の支点が股関節という理解です。)
この2つの支点による動きと、右股関節から左股関節への体重移動によって、連動した腕の力を使わないしなりが効いたスイングとなり、スイングの基本原理はコレです。
これに胴体を構成している骨盤、背骨、肋骨、胸骨、肩甲骨、鎖骨の使い方をプラスすれば腕の重さが出て非常に大きな遠心力が生まれます。
まずは、それぞれをパーツごとに動かせること。それができなければスイングという高難度な運動(連動)は不可能です。
骨盤の動き
骨盤の動きを意識する時のポイントが仙骨と腸骨で、この2つを動かすイメージを持つことで胴体の回旋が大きく変わります。
【仙骨】
【腸骨】
仙骨と腸骨の動きに足首、股関節、膝がついてくるという感覚が大切です。
その感覚が得られるか動画を参考に行ってみてください。
背骨・肋骨の動き
背骨の土台に仙骨があり、背骨の胸椎と胸骨に肋骨がついています。
ゴルフのスイングにおいて背骨・肋骨の重要な動きは側屈回旋です。
側屈は仙骨と胸骨の向きを意識する。
回旋は左右の肋骨の動き(長さ)を意識する。
その感覚が得られるか動画を参考に行ってみてください。
胸骨・肩甲骨・鎖骨・上腕骨の動き
腕の始まりは身体の前面では胸鎖関節、身体の後面では肩甲胸郭関節です。胸鎖関節は胸骨と鎖骨が成す関節、肩甲胸郭関節は肩甲骨と胸郭(肋骨)が成す関節になります。
ゴルフのスイングにおいて、腕の力を使いやすい人は腕の始まりを肩甲上腕関節で捉えています。
まずは、この腕のスタート位置の意識を変えるだけでも腕の扱いやすさは変わります。これを踏まえた上で、腕の内旋と外旋という動きを練習します。
腕の内外旋は上述した正しい腕の始まりまを意識すれば、当然、胸骨・鎖骨と肋骨・肩甲骨もこの動きに大きく関与してきます。
つまり、腕の内外旋は胴体を捩る(ねじる・よじる)運動がセットで起こるということです。(捩る動作の本質は背骨・肋骨の動きです。)
ぞうきんを絞る画を想像すればわかると思いますが端っこを持って絞れば、真ん中が1番捩れています。
身体の場合はこれを中心から起こします。背骨と肋骨の側屈回旋によって捩れが生まれ、その動きが腕の内外旋へと伝わるということになり、これが胴体力の全貌です。
その感覚が得られるか動画を参考に行ってみてください。
まとめ
ゴルフのスイング時に腕に力が入らないようにするポイントを出来るだけ簡潔にお伝えしようと思ったのですが、きちんとした情報を伝えようとするとどうしても難しくなってしまいます。でも、これこそが腕の力を抜けない最大の理由で、腕の力を抜けなくて困っている方はご理解いただけると思いますが、腕の力を抜くことは簡単なことではないのです。
腕に力が入る理由は根深くしっかりと存在していて、それを解消していくしか方法がありません。(ただ力を抜くだけではスイングは成立しないので。) すごく回り道になってしまいますが、本気で腕の力を抜きたいのであれば、コツコツと身体の使い方を修正していくことをおすすめします。