トレーニングノート

前脛骨筋が発達しすぎる理由と改善方法|歩き方・走り方に直結する脚のバランス

足首を上に持ち上げたり内側にひねる動作を担当する前脛骨筋は、すねの外側にある筋肉で、歩く・走る・階段を上がる・つまずかないための動作に必須の筋肉ですが、過剰に使いすぎると張り出して脚のラインに影響がでてしまう部位でもあります。

実際に「脚がゴツくみえてしまう」「すねだけ筋張って不格好」などの見た目の悩みを抱えてる人も多いですし「脚がだるい」「足が浮腫む」などの悩みを抱えている人も少なくありません。

そこで今回の記事では、前脛骨筋が発達しすぎる原因・体型的な特徴・改善のためのアプローチをわかりやすく解説していきますので参考にしてみてください。

前脛骨筋が発達しすぎる原因

まずは、前脛骨筋の場所を見ていきましょう。

脛の前側についている筋肉で脛骨外側から足の裏(第一中足骨、内側楔状骨)に走っています。

機能としては下図の様に足首を背屈内反させる動きをします。

前脛骨筋が発達し過ぎて気になっている方は、単純にこの方向に足首を動かす癖があるということになります。

下図の様に足首を内反させて立っていないでしょうか?

立つ 足首 内反

下図の様に足の指反らせる癖はないでしょうか?

癖はそのまま日常動作や身体の特徴へ繋がっていきますし、様々な足の問題も引き起こしてしまいます。

脳は賢いので最も多く時間を費やしている形を再現しようとするので、上記の様な癖があると、歩いたり運動するたびに癖が強化されるので前脛骨筋がパンパンに発達してしまうということに繋がっていきます。

これらのことから前脛骨筋が発達しすぎる理由は、足首を背屈若しくは内反癖があるからということになります。(ちなみに足の指を浮かせると前脛骨筋は張りますので、触って確かめてみてください。)

日常生活のよくある事象で例えると、家でスリッパを履く人や外出に足首が固定されないサンダルをよく履く人は、脱げないように足の指を反らせる傾向があり、この場合も前脛骨筋は発達しやすくなります。

前脛骨筋が発達しすぎる人の身体の特徴

  • 踵重心の人
  • 浮き指の人
  • しゃがんだ時にスネがキツい

この3つに該当する人は前脛骨筋が張っている、もしくは前脛骨筋が張りやすい予備軍です。

踵重心の人

踵重心になると、必然的に膝は伸びてしまいます。

脚の構造的に、膝が伸びると脛骨は外旋して、股関節は内旋方向になってしまいます。

これは、膝の関節面が内側が高く外側に向かって低くなるためです。

さらに、足首の構造的にも内くるぶしの方が高く外くるぶしに向かって低くなっています。

これらの要因から下腿は外旋方法に流れ、足首は内反方向に流れていきます。

その結果、靴の後ろ外側がすり減りやすくなります。前脛骨筋の機能として内反がありましたが、踵重心の人は常に足首が内反傾向にあるため常に前脛骨筋は緊張状態を強いられ、張ってくる原因となります。

浮き指の人

浮き指とは、指が地面から浮いている状態のことで、スリッパ・サンダル・ヒール・ミュール・パンプスなど足の指を反りやすくする履き物の着用頻度が高い人がなりやすく、その習慣がつくるものです。

また、浮き指は踵重心の人もなりやすいとも云えますが、これは単純に足の指に荷重しづらくなるので指も浮きやすくなるということです。これに付随して歩く時に踵から着地の意識が強すぎる人は指が反りやすい傾向にあり、これらすべてに云えるのが、足の指が浮くことイコール足の指が反っているともいえるからになります。

特に親指の付け根に前脛骨筋はついているため、親指の反りが強いと足首が背屈しやすくなり前脛骨筋は縮む方向に緊張しますので、足の指が浮いて反っていると前脛骨筋は張りやすくなってしまいます。

しゃがんだ時にスネがキツい人

しゃがんだ時にスネが頑張ってしまいキツくなってくる人は、ほぼ間違いなく踵重心です。(下図の様な体勢をとった時に足の指が浮いて股関節は内旋して下腿は外旋し膝とつま先は違う方向を向いているはずです。)

足 外側 浮く 横面足 外側 浮く

動作1つ1つに必ず癖がでるものなので、動作の仕方を間違えれば、使う筋肉は全く異なったものになります。

しゃがんだ時にスネがキツい人は、関節の向きが一致しておらず、筋肉の捻れが発生している状態です。

関節の向きがズレた状態で他の動作も行っている可能性が高いので、大なり小なり前脛骨筋が張りやすくなってしまっている可能性が非常に高いといえます。

前脛骨筋の発達しすぎを改善する方法

前脛骨筋の発達しすぎを改善する方法はたくさんありますが、今回は自宅でも可能なワーク3選をお伝えします。

  • 足首の底屈・外反方向のストレッチ
  • 足の小指、薬指を上手く使う練習
  • 小指蹲踞スクワット

足首の底屈・外反方向のストレッチ

まずは、日頃から過剰に働き緊張しっぱなしの前脛骨筋を緩めるストレッチをご紹介します。

前脛骨筋の機能は前述した通り、足首の背屈と内反ですので、この逆方向となる、底屈・外反に足首を動かせば前脛骨筋は伸びるので、その方向をイメージしてストレッチをかけてみましょう。

前脛骨筋ストレッチ

足の小指・薬指を上手く使うワーク

踵重心で浮き指が癖になっていると足の指は地面を噛む方向に曲がる習慣がなくなるので、足首は背屈方向に常に緊張することになりますが、特に小指側はただでさえ使いにくいのに相まってより使いづらくなってしまっています。

小指・薬指が使えないと、腓骨筋という前脛骨筋の拮抗筋が使いにくくなり、底屈・外反という動作が困難になっているので、小指と薬指を使うワークと腓骨筋のワークを行ってみてください。

足の小指・薬指ワーク

腓骨筋ワーク動画

小指・薬指蹲踞スクワット

小指・薬指で地面を噛みながら踵を浮かした状態でスクワットを行います。(バランスが取りづらい場合は壁などに手を添えて少しサポートをしながら行ってみてください。) いつもと違い足の甲、腓骨筋に刺激が入るはずです。

まとめ

現代社会は年々利便性が高くなって、次々と便利な商品が生みだされていますが、それと比例する様に身体の機能性は年々低下の一途を辿っています。毎日身体の動きを研究している私ですらまだ完璧に身体を操作できていないレベルですので、現代人の身体操作レベルは相当に低いですし、身体の変な癖もたくさん存在しています。

そんな身体の状態でランニングやトレーニングをすると、前脛骨筋が発達し過ぎたり大腿部が横に張ってきたりなど、身体のアンバランスさはどんどん助長される一方です。トレーニングなどで身体を鍛えたりすることは決して悪いことではないですが、その前にまず身体の癖を修正してから取り組んだり、日ごろの身体のつかい方を見直すことが肝要ですので、回り道になりますがキレイな身体のラインをつくる為にも是非取り組んでみてください。

自分史上最高の身体へ