階段の登り方がわからなくなる方必見!階段イップスを防ぐ基本マニュアル
「最近階段の登り方がわからなくなる時がある...」そんな違和感に不安を感じたことありませんか? 実はこの違和感は、筋肉や柔軟性の問題ではなく、身体の感覚・姿勢や動作の癖・動作パターンの乱れが重なって起きる現象になります。特に座りっぱなしの生活習慣、偏った重心、反り腰などの動作癖のある人は、階段の登り降りの動作に必要な連動性が崩れ、足をどう動かせばいいのか脳が迷う状態が起きやすくなってしまいます。
この状態までいかないように普段の生活の中で、正しい階段の登り降りが出来るようにしておくことが肝要ですが、階段の登り方がわからなくなった人でも、そうでない人でも階段の正しい登り方はマスターしておいた方がいいので、今回は階段の登り方改善のために必要な身体の使い方をトレーナー目線でしっかりと解説していきたいと思います。
階段イップスが原因!?
階段の登り方がわからなくなる状態を階段イップスと呼びます。心理的・身体的問題が要因で階段の登り降りが怖くなったり脚が震えるなどの身体反応が出たりなど症状は様々です。
心理的な要因としては、階段でつまづいたり転倒したなどの記憶がフラッシュバックすることで身体がすくんだり震えとして身体反応を引き起こし、身体的な要因としては、脳からの神経系の伝達回路が機能せず筋肉が上手く働かない状態を引き起こしたりします。
個人的には、階段の登り方がわからなくなる問題の発起は心理的要因ではなく、身体的要因だと考えており、階段でつまづいたり転倒したのであれば足が思ったように上がらなかったり、思ったように身体を動かせなかったことが原因であることが多いですし、脳からの神経系の伝達回路の不具合も身体的な問題と云えます。
つまり、身体を整え鍛錬を積むことで身体という土台がつくられ、身体の使い方という技を磨くことで身体の健康がつくられますので、体技心という考え方で取り組むことが解決の糸口です。
階段の登り方がわからなくなるという問題に対するアプローチは、まず身体を整え使えるようにする。これに尽きます。
階段の登り方の前に身体を整える
整えるべき場所や方法は以下の通りです。
- 呼吸でコアを整える
- 足裏・足首感覚を整える
- 骨盤・股関節感覚を整える
これらを整えることで圧倒的に身体の使いやすさが向上します。
呼吸でコアを整える
身体の操作性を上げるために真っ先にやるべきことはコアを使えるように整えて、胴体先行の動きを覚える必要があります。
階段を登るとなると、どうしても脚に意識が行きがちで、その意識によって使う場所が脚ばかりになり、お腹周りや上半身をほぼ無視した状態で身体を使おうとしてしまいます。
全ての動作は全身運動であり、階段も例外ではありません。普段から脚だけを使うシステムになっていることで、疲れやすかったり、つまづきやすくなったり、膝を痛めやすくなったりします。以下の図の様に脚は骨盤から始まりその起点は股関節なので、骨盤を使う感覚や意識がなければ当然脚は上手く働きません。

その骨盤の安定に関わる筋肉がインナーユニットと云われるコアです。
- 横隔膜
- 腹横筋
- 多裂筋
- 骨盤底筋群
これらの筋肉を総称してインナーユニットと呼ばれています。




これらを活性化するための基本の動作が呼吸であり、中でも横隔膜という筋肉が呼吸のメインの筋肉で、この筋肉を中心にインナーユニットを使うことでコアの安定が促され、整っていきます。まずは、以下の動画を参考にドローインでコアを整えましょう。
足裏・足首感覚を整える
足裏には固有受容器という、圧感覚、荷重感覚、バランス感覚などを司るセンサーが数多く配置されています。

足裏の感覚は、普段靴下と靴に覆われているためセンサーは鈍い状態です。
まずは裸足で過ごしたり、エクササイズすることでその環境からは解放することが必要で、それだけでも効果は出ます。
そこからは足裏への刺激を加えることで尚感覚は良くなります。簡単な方法は、青竹踏み、テニスボール、ゴルフボールで足裏ゴロゴロがおすすめです。

足首は足根骨のポジションを適正化することがポイントです。足根骨とは、足首の根本にある足裏の安定に欠かすことのできない骨です。


足根骨がズレていると、階段を登る際に足裏の着地も不安定になり、脛が傾斜することで身体全体のバランスも崩れることになりますので、足根骨のズレを整えておくことは必須になります。
以下のストレッチやケアは足根骨のズレを調整するのに有効な手段です。
骨盤・股関節感覚を整える
骨盤・股関節に関しては、骨盤が立つ・股関節がハマるという感覚を得られれば、階段を楽に安定的に登ることができます。
骨盤が立つ
骨盤が立つ = 骨盤ニュートラルポジション です。
骨盤ニュートラルとは、上前腸骨棘(ASIS)と恥骨を結んだラインが地面と垂直にある骨盤の角度のことを云います。

立っている時も歩いている時も、そして階段を登る時も骨盤ニュートラルポジションを保って動くことが必要です。

股関節がハマる
股関節がハマる = 股関節が機能的に動かせる なので、股関節がハマっていないと膝や太ももの前側を使って立ったり、歩いたり、階段を登ることを強いられます。
股関節がハマるというのは、骨盤の寛骨臼というくぼみに、大腿骨の骨頭がスポッと収まる状態のことを指します。

このハマりを取り戻してくれる筋肉が、深層外旋六筋で、この筋肉が働かないことには股関節がハマることはないので、まずはこの筋肉たちに刺激を入れましょう。
- 梨状筋
- 大腿方形筋
- 内閉鎖筋
- 外閉鎖筋
- 上双子筋
- 下双子筋


深層外旋六筋にアプローチするには、クラムシェルというワークを2種類やってください。
階段の登り方に必要な身体の使い方を身につける
まずは、階段を登るのに主要な身体のパーツの使い方を覚えていきましょう。
- コアを鍛える
- 足裏・足首をつなげて使う
- 骨盤・股関節をハメたまま使う
これらを使えるようになるワークを行っていきます。
コアを鍛える
コアが使えず抜けていると骨盤は当然安定せず、骨盤が安定しないということは、当然股関節も正常に機能しにくい状態になります。
コアが使えるようになるにはフォローボディを覚える必要があり、フォローボディはインナーユニットが効いて且つ肋骨が締まっている状態です。
この感覚を持ったまま、立つ、座る、歩く、そして階段を登る動作を行う習慣をつくらなければいけません。
フォローボディのつくり方は以下の動画を参照してください。
足裏・足首をつなげて使う
足裏・足首は階段を登る上で重要なポイントになります。
特に、足裏の地面を捉える感覚、足裏をコントロールする足指の機能、足の安定を左右する足の甲の機能、重心をコントロールする足首の可動、これらを全て協調し、つなげて使える感覚が必須になります。その感覚づくりに必要な足指と足首をつなぐワーク、足首と足の甲をつなぐワークをご紹介するのでトライしてみてください。
骨盤・股関節をハメたまま使う
骨盤を立てて、股関節がハマった状態のままいかなる動作も行うことが、健康的に過ごせる要因の一つです。
もちろん階段を登る時も例外ではなく、むしろ、より骨盤・股関節の使い方が要求され、ここが機能しないと、不安定、力が伝わりにくい、膝が痛いなどの問題を招いてしまう可能性は高くなりますので、骨盤・股関節の役割は重要です。
まずは、骨盤を立て、股関節をハメるワーク、グッドモーニングを行い感覚づくりを行いましょう。
まとめ
階段の登り方がわからなくなるのは、年齢だけが原因ではありません。足関節や股関節の使い方や身体機能の低下、神経系の混乱といった要素が重なることで、身体の連動が上手く働かなくなることが大きな要因になります。
身体の使い方を見直すことによって、階段の登り降りはもちろんのこと、普段から生活しやすくなり、身体の負担も減っていきますので、今回紹介したものを是非試して階段を登ってみてください。(感覚が変わった、なんとなく良くなった、全く変わらなかったなど結果は様々になるはずです。)
今回ご紹介したものはあくまで基本の部分なので、結果が出なかった場合は個人の状態に合ったアプローチが必要になりますが、基本は大切で必須なものになりますので、普段の生活の中でコツコツ継続してみてください。