太っているのに肋骨が出てるのはなぜ?原因と改善法を徹底解説

太っていると筋肉や骨格は脂肪に覆われてしまうので、隠れてみえなかったり目立たないことが多いのですが、肋骨が浮き出てみえるという人も少なくありません。
これは、脂肪のつき方や姿勢の問題で肋骨だけが強調されている状態で、この現象を放置すると、体型全体のバランスが崩れてみえるだけでなく、腰痛や呼吸の浅さにもつながるので注意が必要です。
今回はそんな肋骨が強調されている状態の原因と改善法を徹底解説していきますので、是非参考にしてみてください。
太っているのに肋骨出てる人に多い体型の特徴
太っているのに肋骨が出ているのは珍しいことではなく、以下の様にいくつかの特徴的なパターンが存在します。
お腹下部がぽっこり出ている
肋骨部分にはあまり脂肪がつかずに、下腹や腰回りに脂肪が集中しているパターンになりますが、この場合は上半身の厚みはあるのに、胸の下あたりがゴツゴツしてみえ、Tシャツやブラウスを着た時にシルエットが崩れやすくなります。
上半身の厚みが強調されやすい
骨格的に胸郭が前に張りだしているタイプの人は、脂肪がついても肋骨のラインが浮き出やすい傾向にあります。特に骨格ストレートの人に多いことですが、背中や胸の厚みがある一方で肋骨の張りが目立ちやすくなります。
くびれができにくい
肋骨と骨盤の距離が近い人は、脂肪がついてしまうとウエストが直線的にみえやすくなり、そのため肋骨下部が余計に出っ張ってみえてしまいます。太っているのにガリガリっぽくみえる部分があるといったアンバランスさが生じてしまいます。
猫背や反り腰による姿勢の影響
姿勢の崩れも大きな特徴の1つになります。猫背の人は胸郭が圧縮されて肋骨下部が前に押し出されるカタチになりやすい傾向にありますし、反り腰の人は骨盤が前傾して下腹がでてしまうため、相対的に肋骨が浮いてみえています。
筋肉が少なく支えがない
太っているのに肋骨がでているのは、体脂肪は多いけれど筋肉量が少ないという隠れ肥満型の人にも多い特徴になります。特に腹斜筋や広背筋が弱いと、肋骨を内側に引き込む力が足りずに、脂肪の下でも骨の輪郭が目立つ様になってしまいます。
肋骨が出てみえる状態とは?
肋骨の下の方が出っ張って浮いたように見えてしまう状態を「リブフレア」「オープンシザーズシンドローム」などと言われています。
直訳すると、リブ(肋骨)フレア(広がる)。
オープン(開く)シザーズ(ハサミ)シンドローム(症候群)、ハサミが開いた時のような状態を指します。
つまり、肋骨の下側が広がり開いた状態ということです。
上記画像のように反り腰とリブフレア/オープンシザーズシンドロームはセットで起こります。
肋骨が出てみえる原因
原因は『反り腰』
肋骨が出てみえるこの状態の主な原因は上記画像のように『反り腰』です。
反り腰は日常の生活習慣による姿勢、癖によって引き起こされています。
恐らく、肋骨が出てみえるという悩みをお持ちの方は反り腰がラクな姿勢と脳にインプットされています。
反り腰がラクと錯覚してしまった理由は重力に負けっぱなしで姿勢を保つ筋肉(抗重力筋)を使わずにラクをしていたからです。筋肉を働かせないことを「ラク」と捉えていた訳です。
反り腰で失ったインナーユニットの機能
そして、反り腰によって弱化する筋肉は『インナーユニット』と呼ばれる4つの筋肉です。
- 横隔膜(おうかくまく)
- 腹横筋(ふくおうきん)
- 多裂筋(たれつきん)
- 骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)
この4つの筋肉が胴体の姿勢を安定させる中心と言えます。
問題があるのはインナーユニットだけでは無いのですが、この4つの筋肉の機能を回復させないことにはどうにもならないので、まずはこれらの筋肉が使える感覚を獲得して、かつ日常的に使えるように意識付けしていくことから始めます。
改善のためのアプローチ
- インナーユニットのポジションと役割の理解
- 呼吸の重要性の理解と呼吸法
- 「肋骨を閉じる」という感覚の獲得
- フォローボディの理解と実践
今回はこの4つの流れを組んで肋骨が出てみえる問題の解決を図りたいと思います。
インナーユニットのポジションと役割の理解
インナーユニット4つの筋肉を改めて記します。
- 横隔膜(おうかくまく)
- 腹横筋(ふくおうきん)
- 多裂筋(たれつきん)
- 骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)
まずは、これらがどこにどのように付いている筋肉か、どういう役割をするのか分らないものを使うなんてことは不可能です。筋肉がどこからどこに付いていて、どういう役割があり、どのような働きをするかを理解しましょう。
横隔膜(おうかくまく)
呼吸のメインの筋肉で腹圧を高める役割がメインです。
腹横筋(ふくおうきん)
骨盤、腰椎の安定がメインです。
多裂筋(たれつきん)
脊柱の縦の安定がメインです。
仙骨を前傾させる機能があります。
骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)
腹圧を高め、内臓(子宮、膀胱)の保持をします。尾骨に付いているので仙骨を後傾させる機能があります。
これら4つの筋肉の場所のイメージと役割を頭に入れると次に行う呼吸法の解釈がしやすくなります。
呼吸がこのインナーユニットに大きく関わってきます。
呼吸の重要性の理解と呼吸法
呼吸は1日約2万〜2万5千回と言われていますので、(人間が行う最も回数が多い運動です。)それだけの回数をこなす運動にエラーが出ていたら身体への悪い影響を及ぼしそうなのは想像に容易いと思います。
ヒトは肝臓、腎臓、あるいは上位脳が障害されても、数日間生き延びることができますが、呼吸あるいは血液循環が約5分間停止すると組織の酸素欠乏のため死に至ります。当たり前のことですが呼吸が止まると死に至るので、生命維持においてとても重要な役割を持っています。
そして、呼吸のメインの筋肉が『横隔膜』です。
呼吸とは呼気(吐く)と吸気(吸う)を交互に行います。良い呼吸とは、正しく吐いて横隔膜がリラックスできること、正しく吸って、一度リラックスした横隔膜が収縮できることを意味しています。
吸った時
吐いた時
まず、正しい呼吸ができているかチェックしてみましょう。
仰向けに寝そべって呼吸をした時に、胸郭と腹部が一斉に膨らみ、一斉にしぼんでいるかどうかをチェックすることで確認できます。
胸郭も腹腔も同じように膨らみ、同じようにしぼむ、そして身体の前側だけでなく、横にも後ろにも360度膨らみ、しぼむのが理想の呼吸です。
横隔膜の弛緩が十分ではないと、胸郭は膨らむがと腹腔は膨らまないなどバラバラに動いてしまうこともあります。
このようなエラーが出ないように下記画像のようにインナーユニットが動くイメージを持って呼気と吸気を行ってみましょう。
「肋骨を閉じる」という感覚の獲得
肋骨が出てみえる「リブフレア/オープンシザーズシンドローム」の問題は横隔膜の動きのエラーと「腹横筋と内腹斜筋が使えていないこと」が挙げられます。
腹横筋
内腹斜筋
この2つが機能しないということは、連動して動いている横隔膜が常に緊張状態にあるということになり、息が吐きにくくなります。
吐けていないにも関わらず、なお吸おうとするので、他の筋肉に無駄な負担をかけることになり、これが俗にいう「肩で息をする」という状態です。
「肋骨を閉じる」感覚を得るために行って欲しいのが『ドローイン』です。
ドローインは吸気で胸郭・腹腔が膨らみ、呼気で胸郭が締まり、腹腔はお腹と腰がくっつくような感覚かつ細くなるイメージで行うインナーユニットの活性化を促す運動です。
下記動画参考に行ってみてください。
フォローボディの理解と実践
最後にドローインを意識した「カラダを閉じる」「カラダを締める」感覚を養うワークをご紹介します。
フォローボディを体得するとウエストがくびれる、お腹が締まる、スポーツの基礎となる体幹の安定など様々な利点があります。水泳でいうと、蹴伸びの姿勢で「ストリームライン」という形になります。
下記画像参考に行ってみてください。
まとめ
太っているのに肋骨がでている原因と解消法を解説してきましたが、正直なところ理解しづらかったり難しいところがあったかもしれません。
トレーニングにきていただいて実際に動きなどを体感して頂けばどなたでも理解できるのですが、文章や画像で説明するとどうしても伝わりづらくなってしまうのがもどかしく感じます。
身体はそんなに簡単なものではなくて、何かをしたからといってすぐに直る様ものではありません。特に身体のラインなどを整えるには日頃の意識がすごく大切です。上記の運動だけで肋骨がでない様にするのは難しいかもしれませんが、土台部分であり必要なことなので、ぜひ日頃の日課に組み込んでみてくださいね。