ドライビングポジションがしっくりこない人のための身体改善ガイド

2020年4月から高速道路などの特定条件下でレベル3の車両が自動運転で走行可能となりましたが、技術革新はどんどん進んでおり、完全自動運転もそう遠くない未来に実現出来るところまでやってきました。
とはいえ、まだ数年間は私たちが運転する時代が主流であり、職業によっては何時間も運転しないといけない方がいらっしゃいます。
ドライビングポジションがしっくりこない状態で長時間の運転は、とにかく腰が痛くなりやすく、どんな体勢をとっていたとしても辛いですね。
長時間運転をしている以上は、体勢的にどうしても身体に負担がかかってしまいますが、そんな環境下でも身体を少しでも労われるドライビングポジションのポイント解説など、ちょっとしたトリビアを今回の記事ではご紹介していきますので、ピンとくるものがあれば運転中に少しでも取り入れてみてください。
なぜドライビングポジションが合わないのか?
車の設計は基本的に平均的な体格を基準にしていますが、実際には人それぞれの骨格・筋肉のバランス・柔軟性がそれぞれ違うので、シート調整だけではしっくりこないことが多くあります。
まずは出来るだけ自分にあった車に乗ることが大切なことですが、それ以外にも…
- 骨盤の傾き
- 股関節の硬さ
- 肩甲骨の位置
- 身体を支える筋肉
などのコンディションもドライビングポジションに大きく関わってきます。つまり、シートだけが悪いのではなくて、身体の使い方やコンディションにも合わない問題が潜んでいるわけです。
物理的ドライビングポジションの罠
まず、ドライビングポジションはアクセルやブレーキを足で操作するため、日常の座り方よりも座面に対して、物理的に大きく前に置くことになります。
このポジションを強いられることが、そもそもしっくりきづらくなる原因と考えられ、その理由として、座面に対して足が大きく前にあるため、その足に骨盤が引っ張れる形となり腰が丸まります。
しかも頭は見ようとする意識によって視線に引っ張れ前に出やすくなり、かつアクセルやブレーキを踏むベクトルも重なり背中も丸まりやすくなります。
この姿勢が長時間続くと間違いなく、腰・背中・肩・首・腕・太もも・ふくらはぎは疲れます。よって、車の運転は物理的に姿勢を崩されやすいものだという認識を持っておくことも大切で、その意識を持った上で、その逆境のなかで何をすべきかをお伝えしていきます。
正しいドライビングポジションの基本
まず、シートの角度が90°よりは鈍角になるのがスタンダードで、個人差はあれど、100〜120°ぐらいで設定してる人が多いのではないでしょうか。
この角度だと骨盤は後傾方向に傾きやすくなり、腰や背中は丸まり必然的に首も前に落ちて首の負担も増えます。
正しいドライビングポジションは以下の3点を意識することがポイントです。
- 坐骨面の接地位置
- 股関節のハマり
- 肩甲骨と肩のポジション
この3点を改善して正しいドライビングポジションをつくりましょう。
ドライビングポジションが合わない人の身体の特徴
ドライビングポジションが合わず、腰・背中・首の痛みに悩まされている人の大きな特徴は3つです。
- 骨盤後傾位で坐骨で座れていない
- 股関節が骨盤にしっかりおさまっていない
- 肩甲骨が開いて肩が前方に流れている
この3点は全てセットで起こっているので、骨盤だけ後傾することもなければ、肩甲骨だけが開くこともありません。
つまり、この3点は同時に起こっている現象になります。(マイナス骨連鎖)
骨盤が後傾すると肩甲骨は骨盤から離れていくように上外方向へ開き、背骨は丸まっていき、この動きの流れに沿って股関節は骨盤から押し出されるように抜ける方向に押し出されていきます。
この身体の連鎖が起こっていると疲れたり、どこかが痛む様なドライビングポジションになってしまいます。
身体に負担をかけにくいポジションづくりのポイント
では、身体に負担をかけにくい正しいドライビングポジションをつくるために何をするべきかですが、基本は先述した通りの以下の3つになりますので、まずはこの3点を改善していきましょう。
- 坐骨面の接地位置を正す
- 股関節のハマりを良くする
- 肩甲骨と肩のポジションを整える
坐骨面の接地位置を正す
坐骨とは読んで字の如く「坐る(すわる)骨」ですが、それにも関わらず、坐骨がシートに正しく接していない場合がほとんどです。
運転によって腰痛や肩こり、腕のダルさが出る人は高い確率で誤った坐骨面をシートに当ててしまっていますが、その場合は坐骨の後面がシートに接しています。正しくは坐骨の下面がシートに接した状態です。
まずは、坐骨面を正しくシートに当ててみてください。このOK面で座れると、いわゆる『骨盤が立つ』という状態をつくれます。
股関節のハマりを良くする
骨盤が後傾して腰や背中が丸まっている場合は、坐骨の後面(NGゾーン)がシートについていることがほとんどです。
そうなると股関節は押し出されるように骨盤から離れる形になります。
さらに、アクセルやブレーキを踏み続けているので、より股関節は離れていき、その結果、骨盤の後傾を止めるものがなくなり、首から腰にかけてのテンションを上げてしまい、このテンションで姿勢を保つことになるので首・腰・背中に負担が掛かるという訳です。
この痛みと疲れを和らげるために今度は、頭を前方にズラして調整してみるものの骨盤は後傾したままなので、結局、首の後ろ側、腰の下側への負担は変わらないままです。
これを改めるには、坐骨面を正しくシートに当て、骨盤を立てて、大腿骨が骨盤方向へハマる方向へ差し込む意識が必要になります。
この意識ができて体感的に感じられるようになってくると、お尻が尖る形になりシートの角に自然にフィットします。
肩甲骨と肩のポジションを整える
骨盤が立ち、股関節が差し込まれハマり、シートにお尻がフィットすれば、プラス骨連鎖によって肩甲骨は骨盤に近づく方向に下がりながらやや内側に寄っていきます。
肩甲骨がやや内転して下制した状態が肩甲骨のニュートラルポジションです。
その肩甲骨の位置を感じた状態で肩関節を肩甲骨にハメるイメージで内側やや後方におさめて行くことで背中が安定して使える感覚がもてます。
これらの状態をつくりながら3つのポイントをおさえると長時間の運転も疲れにくく、しっくりくるドライビングポジションです。
まとめ
日常的に運転をする時間が長ければ長いほど、ドライビングポジションは大切になってきます。特に連続運転になると腰への負担は相当なものです。
最初は違和感があるかもしれませんが、上述した内容を行っていると徐々に慣れてしっくりくる筈ですので、ぜひ日常の運転に取り入れてみてください。