トレーニングノート

電車でふらつく人とふらつかない人の本当の違いとは?身体操作のプロが徹底解説

通勤や通学で電車に乗っていると、揺れに耐えられずフラフラしてしまう人と、全くブレずに立っていられる人がいます。性別とか年齢とか関係なく、ふらつく人とふらつかない人の属性がまちまちです。

一般的な解説だと、ふらつく人の特徴は…

  • 体幹の筋力不足
  • バランス感覚の低下
  • 筋持久力の低下

などがあり、ふらつかない人は…

  • 体幹が強い
  • 体幹の安定性がある
  • 下半身の安定感がる

など体幹能力がある人という風に云われることが多くあります。確かに上記のことにも繋がってはくるのですが、もっと物理学的な理由が存在しています。

今回はそんな物理学的な視点からみた、ふらつく人とふらつかない人の違いから、どうすれば電車でふらつきにくくなるかのポイントまで徹底解説していきますので、電車に乗る時に是非試してみてください。

電車でふらつく人の特徴

  • 踵重心で立っている
  • 膝が伸びている
  • 骨盤が前方にスライドしてしまう

上記のように物理的に身体の中心となる骨盤を支えられないシステムで立っているので電車でふらつくのは当然の結果です。

踵重心で立っている

そもそもの足の構造を見た時に脛は足に対して後ろ(踵寄りに)に位置します。

この段階ですでに物理的には後ろ側に倒れやすい構造を取っています。

(※これは人間が前に進むことがメインなので足の甲側が長くして安定しやすく進化していったと考えます)

この構造を考えると、立つという動作において足裏の重心は極めて重要であり、重心位置がズレるだけでバランスは崩れやすく、土台が不安定になり弱い構造になります。

その足裏の重心ですが、大概の人は踵(後ろ側)にあります。

踵(後ろ側)を支点としているため、後ろに倒れそうになるので無意識的に膝を前に出し、骨盤も前に出し、頭を後ろに下げてお腹を出した状態でバランスを取ってしまいます。

そして、電車でふらつく人は足裏の重心位置を踵のまま変えないで、対応しているため点で支える構造(指が浮きやすい)を強いられ不安定になります。

さらに、踵重心の場合、底辺の短い方に軸が倒れてるので安定感は極めて低くなります。

よって、身体も後ろに倒れやすくなり反り腰を招きます。

膝が伸びている

これも踵重心と同様に大概の人が膝を伸ばして立ってしまっています。

踵重心になっているから膝が伸びている、膝が伸びているから踵重心になってしまう、この双方は相互関係にあります。

一見膝を伸ばして立った方が安定しそうで、見た目にも一直線というイメージだと思いますが踵重心の話の時にも述べたように底辺の短い方に軸が倒れてるので安定感は極めて低くなります。

さらに膝を伸ばしていることが癖になると太ももの前側・外側が常に緊張状態で硬く太くなりやすくなります。

逆に太ももの裏側は伸びた状態で硬くなっていくのでどんどん弱くなっていきます。

骨盤が前方にスライドしてしまう

骨盤が前方にスライドしてしまう要因は踵重心と膝が伸びていることによるものです。

踵重心と膝が伸びてしまうことは相互関係ということをお伝えしました。

これが起こると構造的には踵の上に膝が乗って行くことになります。

こうなると人は簡単に後ろにバランスを崩しやすくなります。

よって、膝を伸ばしたまま骨盤を前方にスライドさせることで重さを前へ分散してバランスを取ろうとします。

これが腰を反らせ、お腹が抜けた状態を作ってしまいます。

電車でふらつかない人の特徴

  • 距骨・立方骨重心で立っている
  • 膝が緩んで脛が緩く前方に傾斜している
  • 距骨・立方骨、膝、骨盤のラインが通っている

距骨・立方骨重心で立っている

まず、重要なのは足裏の重心位置を『踵の前側(距骨の真下)=立方骨』の辺りに乗せることです。

解剖学的に見ても距骨の上に脛骨というスネの骨が乗っている構造なので踵に乗ってしまうと安定感は損なわれます。

膝が緩んで脛が緩く前方に傾斜している

距骨の上に脛骨が乗っていて、足は踵より足の甲から指にかけてのゾーンの方が長い構造を取っています。

ゆえに、底辺の長い方(足の甲側)に軸が倒れてる方が物理的に安定感があると言えます。

さらに重要なポイントが足裏に対する脛の軸が刺さる方向と足裏・踵の圧力をかける方向です。

このベクトルを意識するだけで安定感は大きく変わります。

脛は緩く傾斜した角度で地面方向に刺さるイメージで、足裏と踵は後方に滑らすようなイメージを持つと身体の重心はいつもより前に感じるはずです。

その位置が本来の動きやすく、安定感のある重心位置です。

距骨・立方骨、膝、骨盤のラインが通っている

最後に足裏の重心位置を感じながら、脛と足裏・踵のベクトルを意識した状態で距骨・立方骨、膝、骨盤を結んだラインを直線に置くイメージで少し前傾させた角度で立ちます。

このラインを通すことで骨盤から下半身の安定感は増します。

電車でふらつかない為のポイント

電車の場合、日常と違って地面が揺れる状況にあるので立ち方は変わりませんが少し意識を変える必要があります。以下の2つのポイントを押さえてみてください。

  • 足裏の重心位置を固定しすぎない
  • ビルの免震構造をイメージする

足裏の重心位置を固定しすぎない

足裏の重心位置は距骨・立方骨とお伝えしましたが電車に乗っている場合、この点で捉えるというよりはこの点を中心に大きな楕円で対応するイメージを持つことがポイントです。

大きな楕円で対応はするが、すぐに支点がこの真ん中の重心に戻ってくる意識を持ち「起き上がり人形」が小さく揺れてるようなイメージで立つと「固めて立つ」ではなく「柔らかく反応して立つ」感覚になってきます。

ビルの免震構造をイメージする

足裏が吸盤のように吸い付くような安定の中で足裏の重心が距骨・立方骨に乗っていれば、足裏に対して身体が揺れる免震構造のような状態で身体を支えることが可能です。

まとめ

電車でふらつかないためには以下のポイントをおさえましょう。

  • 足裏の重心位置が距骨・立方骨を中心に大きな円で地面を感じていること
  • 脛をやや前方に傾斜させ膝に緩みを持たせ「小さく揺れる起き上がり人形」のようなイメージで柔らかく立つこと
  • 距骨、膝、骨盤のラインは基本的に一直線に保ち揺れでバランスが変わってもここに戻る意識でいること
  • 足裏に対して身体が免震構造のように揺れて足でバランスを取らず身体が揺れてバランスを取ること

上記を意識して電車で立ってみてください。

 

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