足の指動く人と動かない人の違いとは?
足の指を自由に動かせる人とほとんど動かせない人は、身体の使い方や姿勢、バランスに明確な違いがでます。日常生活ではあまり気づかない部分ですが、足の指は身体の土台を安定させる最前線であり、あらゆる動作のスタート地点にもなっています。
近年、スマホ・デスクワーク中心の生活習慣や、指が動きにくい靴文化の影響で、足の指の機能が低下している人が増加傾向にありますが、足の指がうまく使えないまま日常生活をおくっていると、膝や腰に負担がかかったり、身体のバランスが崩れて多くの不具合が起きてしまいます。
一方で、足の指をしっかり動かせる人は、地面を捉える感覚が鋭く、重心が安定し、バランス能力や運動効率が高く、トレーニング効果がでやすい特徴を持っています。
足の指が動くかどうかは、単に器用・不器用の問題ではなく、身体の連動性・足裏アーチの状態、神経系の動きが関係していますので、本記事では、足の指が動く人と動かない人の違いと、動かなくなる原因、今すぐ実践できる改善方法まで詳しく解説していきます。
足の指が動かないということは、身体の操作性に関しては伸びしろがたくさんありますので、まずは自身の足の指と向き合うところから始めてみましょう。
足の指が動く人と動かない人の違いとは?
足の指が動く人動かない人の違いを2つの視点から見てみます。
- 環境的な問題
- 意識的な問題
この2つの視点から違いをみていきます。
環境的な問題
足裏の環境が足の指の動きに大きな影響を与えます。
足裏には触覚、荷重感覚、バランス感覚などを感知する役割を担っている固有受容器というセンサーのような器官が備わっています。
当然ながらセンサーなので、肌に直に触れた方が高い精度で働く訳で、靴下を履いて、靴を履いて、足裏を覆った時間が長い状態の現代の生活では足裏の感覚が鈍って当然と云えます。
とはいえ、1日中裸足で過ごすということも無理な話ではあるので、足の指が動かない人は「いつも履いている靴」と「自宅での足の環境」に関して意識する様にしてください。
いつも履いている靴
いつも履いている靴は何が多いですか?スニーカー?革靴?ハイヒール?ミュール?
仕事上の制約がかからない限りは、ソールは限りなく薄くフラットが望ましいといえます。やはり、ヒールやミュールなどはつま先下がりに傾斜しているため、指が常に反っている状態を強いられるため、足の指をまげる能力の低下を招きます。

また、足に良いとされているインソールは厚みがある上にアーチをサポートするなどの機能があるため、センサーは楽をして性能が劣化していくのでお勧めできません。
つまり、足の指が動く人は比較的、ソールの薄い裸足感覚に近いスニーカーを履くようにしていたり、通勤時はスニーカーを履いて出社したらヒールなどに履き替えるなどの工夫をしている印象で、逆に足の指が動かない人は見た目を重視し、多少痛くても我慢していたりインソールなどに頼る傾向がある印象です。
自宅での足の環境
自宅は唯一、靴から解放される空間です。
この自宅で過ごす時間こそ裸足で過ごして足裏のセンサーを活性化するチャンスで、家の中を裸足で過ごすだけでも大きな差になります。
逆に、自宅で過ごす際に、最も避けたいのがスリッパを履くことで、スリッパは厳密に言うと履くというよりは、引っ掛けてるだけなので歩くたびに踵とスリッパには隙間が生まれます。

そのため、無意識に指先を反らせて脱げないようにしていることになり、これもまた足の指を曲げる能力の低下を招きます。足の指が動く人は比較的自宅では裸足で過ごすことを好む場合が多い印象で、足の指が動かない人は、靴下、スリッパのどちらか、あるいは両方履いて過ごしているという場合が多い印象です。
意識的な問題
環境的な問題は比較的物理的な問題なので変えようと思えば、簡単に変えられますが、意識的な問題はかなり厄介な問題で、その理由は、意識の仕方を間違えると結果が伴わないことになります。そもそも足の指のことを深く考えたことがない人の方が多いでしょうし、その状況で正しい意識をすることの方が困難です。(この記事を読んでいただいている方は、少なからず足の指が動かないという自覚があり、意識はしているけれども上手く動かないという方だと思います。)
正しい情報を正しい方向で十分な量を実践すれば誰だろうと結果はでますので、意識しているのに変わらないということが最もダメージが大きく、やる気を削ぐ結果になります。
そういった方々の為に、足の指を動かすには何をどう意識すれば良いのかを以下に解説していきますので、是非ともご一読ください。
なぜ足の指が動かなくなるのか
足の指が動かなく理由は色々ありますが、そもそものベースは生活習慣です。冒頭でも述べたように、足の指が動きにくくなる生活環境、普段履いている靴が足の指の動きを妨げるなど、知らず知らずの日々の積み重ねが今の結果を招いています。
子どもの頃は、裸足で外を駆け回り、今では危ないといわれる高くバランスの悪そうなところを歩いてみたり、鉄棒で連続逆上がりは当たり前にできてたり、ブリッジも余裕だったり、そんな記憶が少なからずあるはずですが、大人になって現代社会を生きていると圧倒的に運動不足に陥っていて、これが足の指が動かなくなる大きな要因です。(子どもの頃から比較的今も動き続けている人はやっぱり足の指も使えています。)
子どもの頃は何も考えなくても足の指が使えていたのに、大人になるにつれて仕事の環境や運動習慣を失い動かない時間が増えることで、足の指を動かさなくなっていくのですが、働いていない部分は使わなくてよい(不要)と脳は判断し足の指の使い方を忘れてしまいます。こうなると、勝手には動かなくなるので使い方や理屈を学び、その手順に反って学習するしかないということになります。
足指が動かない状態に関しては、足趾機能不全に関して以下の記事が参考になりますので、チェックしてみてください。
足の指が動く人の特徴と身体へのメリット
足の指が動く人の特徴は見た目に表れます。
- 姿勢が良い
- スタイルも比較的良い
- 重心が安定している
- 動きが軽い、速い
- 運動能力高め、何やってもそこそこ上手くこなす
だからこそ、足の指はすごく大切な部位になります。
足は最も早く重力を受け取り地面に触れている訳で、立つ時も、歩く時も、座っている時でさえも足の指、足裏は地面についているので、足という土台の一部である足の指が担う役割は皆さんの想像より遥かに大きく重要なものです。そこをまずは再認識してください。
ちなみに、足の指といわれた時に、どこからどこまでが足の指だと思いますか?恐らく、大半の方は下図の赤で囲った部分が足の指だと思っているのではないでしょうか。

でも、実は足の指は足の甲=中足骨から始まっています。

ですので、まずは意識として足の甲も指という感覚を持つことから始めてください。
足の甲から指を使えている人は、下図の様に足の甲に立体感があり筋張っています。

逆に、足の甲から指を使えていない人は、下図の様にのぺっとした足の甲になっています。

足の指が足の甲から始まっているということを知ること、そして意識するだけでも随分と変わります。
足の指は土台となる足裏を安定させる役割を持っているので、姿勢や様々な動きに影響を与えますが、身体へのメリットを考えた時に全ての動きの起点となる足裏の安定感に関与する足の指が動かせることはとても重要な要素と云えます。
足の指が動かないまま放置するとどうなる?
足の指が動かないまま放置すると足裏の安定感は失われ、その結果、足根骨はズレていきアーチが崩れてしまいます。


その影響はどんどん上へ上へと派生していき、脛骨は傾きながら捻れが生じ、脚のラインは崩れるので脚が太くなる要因にもなります。

もちろん、股関節、骨盤へも影響していくので足の指が動かないことは身体全体のバランスも崩していくので、足の指の影響で膝が痛む、腰痛、肩こりも十分に考えられるものになります。
足の指が動かせるようにする方法
では、足の指を動かせるようにするためには何をすれば良いのかを手順と合わせてお伝えしていきます。
- 足の指は足の甲(中足骨)から始まるという意識を持つ
- 立位での重心を踵の前側に置く
- 足の指を第三関節(MP関節)から曲げれるようにする
- たこ足の状態でのスクワット動作を覚える
やはり、日常動作は立っていることが多く、立っている時に足裏の安定感を要求されるので立位で足の指を動かせるようになることが必須です。
足の指は足の甲(中足骨)から始まるという意識を持つ
先にも述べたように、足の指がどこから始まっているかの意識を変えるだけで大きく変わります。

足の甲、つまり、中足骨から足の指を使う感覚を持つことが何より大切で、親指の付け根と小指の付け根を下図のポイントで捉えて指を曲げると感覚は変わります。

立位での重心を踵の前側に置く
足の指を使えていない人は、非常に高い確率で踵後側重心になっています。

こうなると、指が浮きやすい状態になり足の指に圧は掛かりにくくなり、地面を掴みにくくなります。

なので、踵前側重心にすることで自ずと足の指に圧は掛かりやすくなり、地面を掴みやすくなります。

足の指を第三関節(MP関節)から曲げれるようにする
踵前側重心になると、足の指は掴みやすくなりますが、その上で足裏にアーチをつくるイメージでMP関節から指を曲げると意識を持つとたこ足をつくれます。たこ足ができていると、足の指が使えている状態です。たこ足のつくり方は以下の動画をご覧ください。
たこ足の状態でのスクワット動作を覚える
たこ足をつくれるようになったら、たこ足の状態で立ったりしゃがんだりというスクワット動作を仕上げに行ってください。
足裏の重心位置を変えずに同じ圧がかかった状態で立ったり、しゃがんだりを繰り返してもらいたいのですが、その過程で重心がつま先に行き過ぎたり、踵後側に乗ってしまうのは NGです。
終始、踵前側重心を感じながらスクワットを行う様にしてください。
まとめ
足の指が動かない場合は、まず環境を整えることから始めてください。
- いつも履いている靴を見直す、出勤時はスニーカー、出社したらは着替える等、自宅ではスリッパはやめて裸足で過ごす。
- 運動習慣をつくる意識を持ち、身体を動かすことを当たり前にする。
- 足の指は、足の甲から始まっている意識を持つ。
- 立っている時の足裏の重心位置を踵前側にする。
- 足の指をMP関節から曲げる意識を持つ。
以上のことを日頃から意識することで、足の指が動きやすくなっていく筈です。継続は力ですので上記を日々の習慣に出来るように頑張ってみてください。