筋トレしてるのにピーマン尻が改善されない方へ

「筋トレしてるのに、お尻がピーマンみたいな形のまま…」
パーソナルトレーニングが一般的になって日常的にトレーニングが浸透しているからこその悩みがどんどん増えています。スクワットもヒップリフトもお尻のトレーニングを頑張っているのにお尻が上に持ち上がらず、横からみると平べったく垂れてみえる。
この理由は筋トレが悪いのではなくて、筋トレの前段階が出来ておらず、筋肉の使われ方が良くないからになります。お尻の形は筋肉量よりも方向性で決まるので、鍛えているつもりでも逆にピーマン尻を強調する結果にさえなりかねません。
今回の記事では、解剖学的な視点から、なぜピーマン尻になるのかとピーマン尻改善の方向性を詳しく解説していきますので参考にしてみてください。
ピーマン尻の正体
ピーマン尻はなるべくしてなっています。多くの人が筋トレをすればお尻が小さく引き締まって、ヒップアップすると信じている方が多いですが、まず、筋トレさえしていればお尻が本当に変わるのかという疑問を持って欲しいです。筋トレをすればお尻が変わるのであれば、ジムに行って尻トレ頑張っている人全員が求めるお尻の形になるはずですが、殆どの方が求めている結果がでていないのが実情です。
ただ、筋トレでピーマン尻が変わらないという訳ではなく、筋トレは1つの方法であって、筋トレをする前にやるべきことかあるということをお伝え出来ればと思います。
まず、筋トレしても一向にピーマン尻が変わらないと悩んでいる人は身体の構造を理解し、身体をどう使うべきかを考えなければならず、そのポイントとなるのが…
- 骨の位置
- 関節の使い方
この2つに問題がある場合がほとんどです。ピーマン尻になる理由はお尻だけに問題がある訳ではなく、骨盤の状態、股関節のハマり具合、膝関節の使い方、足首・足裏の安定感等、他の部位が大きく影響しているということを頭に置かなければいけません。
身体を1つの構造体として考えるべきで、お尻という部分だけで捉えることがピーマン尻になる可能性を引き起こしているかもしれない…と考え方を変える必要があります。
ピーマン尻は筋トレで加速する
上述したように、骨の位置や関節の使い方を考えずに筋トレをするとピーマン尻を助長しかねません。骨の正しい位置を保つためにインナーマッスルの働きは必須で、インナーマッスルが正常に働くために、関節の正しい使い方が必要になります。(筋トレをする前に、まずはインナーマッスルがしっかりと働くような身体の使い方を覚えて行く必要があります。)
ピーマン尻の解消や身体のラインをキレイにつくりたいというボディメイクが目的なのであれば、いかに正確に身体をコントロールできるかに意識を置き、部位を意識せず負荷を追わないということがポイントになります。正しい身体の使い方で、扱える負荷はどれぐらいになっていっているのかという感覚で負荷を捉え、どの種目も常に全身運動という認識を持つことが重要です。
ピーマン尻解消に必要な身体の使い方
では、具体的にピーマン尻解消に必要な、適切な骨の位置と理にかなった関節の使い方について解説していきます。
適切な骨の位置
適切な骨の位置とは、関節のハマりと思ってもらえればわかりやすいですが、関節がズレてなく正常に機能できる状態にあるかどうかがポイントです。
足元から順に、足関節・膝関節・股関節の適切な状態を解説していきます。
足関節のズレ
足部は両足合わせて52個の骨があり、これは身体全体の約1/4を占めています。
コレだけの数があるのは、あらゆる地面に柔軟に対応できるように発達してきたということが伺えますが、逆に使い方が良くないと簡単にズレてしまうというリスクも伴っています。
足元の状態が悪いと当然、そこから上の膝関節や股関節にも影響を及ぼすため、足元の状態がピーマン尻を招いている可能性は非常に高いと云えます。特に、足関節を形成している足根骨のズレが大きな問題を引き起こします。足根骨とは、距骨・踵骨・立方骨・舟状骨・楔状骨のことをいいます。
- 距腿関節(きょたいかんせつ)
- 距骨下関節(きょこつかかんせつ)
- ショパール関節
- リスフラン関節
中でも、足根骨が関わるこの4つの関節が重要な役割を担っているのですが、足根骨がズレることで機能を失い、これが及ぼす影響は、以下の様な脛骨の傾斜と足裏アーチの崩壊です。
距骨が内側にズレることで足裏アーチが崩壊し、これにより脛骨が傾斜しますが、この2つの問題だけでもピーマン尻に大きな影響を及ぼします。
足関節に関する詳しい解説の記事もご参照ください。
膝関節のズレ
上述したように足関節のズレによって膝関節の状態は当然悪くなります。距骨が内側にズレて足裏アーチが崩壊し、脛骨が傾斜することで、必然的に膝関節は脛骨が外側に回り(外旋)ながらズレていきます。
この状態が通常化することで脚の外側全体に常にストレスが掛かることになるので脚の外側がたくましくなっていき、脚の内側は働かなくなるのでたるむ一方となります。しかも、脛骨が外旋している影響で股関節は内旋方向を強いられ、これがピーマン尻に大きな影響を与えてしまいます。
膝関節に関する詳しい解説の記事もご参照ください。
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股関節のズレ
これまでに説明した足関節のズレ、膝関節ズレの流れから股関節は内旋位を強いられます。
この影響でお尻は外側に開いていくことになります。
ピーマン尻は結局のところ股関節が機能しないことには解決しませんが、それに必要な条件が仙腸関節が締まりの位置ニューテーションの状態であること。
骨盤がニューテーションにあることで、股関節は外旋します。
股関節外旋できることがピーマン尻解消に必須です。
理にかなった関節の使い方
上述した内容を踏まえ、理にかなった関節の使い方を足元から順にまとめると以下のようになります。
足関節は距骨のハマり
足関節の中でも重要なのが距骨のハマりです。距骨の上に脛骨が乗っている状態が正常ですが、多くの人が内側前方に距骨がズレて内側アーチがつぶれて脛骨が内側に傾斜しています。
【正常】
【エラー】
距骨の位置を正常な位置に戻し、距腿関節が正しく底屈、背屈ができる状態でなければいけません。
これにピッタリなワークをご紹介するのでトライしてみてください。
膝関節は脛骨の向き
膝関節の問題は、足関節がズレて脛骨が内側に倒れていることを膝関節を外旋させてバランスを取るためにズレることでした。
これを改善するには膝関節を外旋させる筋肉を緩めて、内旋させる筋肉の活性化が必要です。まずは、太ももの外側や外裏、お尻を伸ばします。
以下のストレッチを行ってみてください。
【レッグリーチストレッチ】
【グルートストレッチベーシック】
【ハムストリングスストレッチ】
【クロスヒップストレッチ】
【ウォールクアドストレッチ】
これらのストレッチ後にヒップリフトを行ってみてください。
太もも裏内側に刺激が入っていればOKです。
股関節は『ヒンジバック』
股関節は、骨盤ニューテーションの状態で股関節外旋位で股関節のジョイントセントレーションが成立すればお尻が上手く使えます。
ジョイントセントレーションとは、股関節がしっかりとハマった状態で保たれ、ハマった状態で股関節が使える状態のことを云います。
骨盤ニューテーションと股関節のジョイントセントレーションが同時に使える動きがヒンジバックで、いわゆる、お尻を突き出すような動きですが細かい解説付きの動画を載せておきますのでこちらを参考にトライしてみてください。
まとめ
解剖学の話になると、どうしても難しくなってしまって敬遠しがちですが、本気でピーマン尻を解消したいのであれば避けて通れない道です。中には筋トレしてピーマン尻がたまたま解消する方もいらっしゃいますが、たまたまインナーマッスルの土台がそれなりに出来ていたということが多く殆どの方は、骨の位置がズレていたり、関節の使い方が正しく出来ていない方が多いのでぜひ上述したワークを試してみてください。
正しく動きが出来ていない場合はピーマン尻を強調しかねないので、出来る様になってから筋トレすることをおすすめします。