ゴルフで疲れるのはなぜ?原因と改善のための身体づくりガイド

年齢を重ねてもできるスポーツの筆頭格といえばゴルフですが、コースを周っていて感じるのは意外に疲れてしまうことです。
ゴルフは年配の方でも出来る気軽なスポーツというイメージですが、意外とハードな全身運動といえ、18ホールをまわれば歩行距離は約7〜10kmにもなり、しかもクラブを振る動作は全身の筋肉を総動員しています。
それに加えてラウンド中は、長時間の集中、季節によっては炎天下でのプレー、不整地での歩行など。これらが重なるため、ゴルフは思っている以上に体力・筋力・集中力を消耗するスポーツといえます。
今回の記事ではゴルフで疲れてしまう原因と、改善のための身体づくりガイドとして解説していきますので、ゴルフ疲れをなんとかしたいという方は是非参考にしてみてください。
ゴルフで疲れる主な原因
ゴルフで疲れる原因は様々なものがありますが、主な原因となるものは以下になります。
下半身の持久力不足
ラウンドは休憩を挟んで一日中歩き続けるため、太もも・ふくらはぎ・臀部の筋肉が疲れやすくなっています。特に坂道や傾斜が多いコースでは下半身の持久力が消耗しやすく、すぐバテてしまう要因になっています。
スイングの力み
スイングは身体の回旋する動きになりますが、回旋がうまくいかず力んでしまうと、1ホール目からフォームが崩れ、無駄な力をつかって疲れが加速していきます。腕や肩の筋肉で力任せにクラブを振るとすぐに疲労が溜まりますし、特に初心者の方は腕のパンプアップを感じやすくなっています。
柔軟性不足
肩・胸椎・股関節などが硬いと、スイングに必要以上の筋力をつかってしまい回転効率が悪くなってしまいます。エネルギー効率も悪くなりますし、血流の巡りが悪いことから回復力も低下してしまうので、それも相まって疲れやすくなります。
集中力の消耗
18ホールという長丁場では、ミスを恐れるストレスや集中力の維持が精神的疲労を引き起こします。スライスやフックなどが起きてしまうとさらにストレスが溜まりやすくなってしまうので、悪循環の疲労スパイラルに入りやすくなります。
ゴルフで疲れない為の身体づくり
ゴルフで疲れる主な原因別に問題を解決するポイントをお伝えしていきます。
- 下半身の疲れを解消するポイント
- スイングの力みを解消するポイント
- 柔軟性不足を解消するポイント
- 集中力の消耗を解消するポイント
下半身の疲れを解消するポイント
ゴルフで下半身が疲れる原因はずばり歩き方です。18ホールのほとんどをカートで移動すれば下半身の疲れは大きく軽減しますが、カートを使わなければ18ホールでトータル7〜10km歩くため、良くない歩き方でこの距離を歩けば疲れて当然です。
概ね下半身が疲れる人は歩き方が筋力移動になっていて、逆に疲れない人は重心移動で歩けていることが殆どです。筋力移動の方は脚をメインに使って移動しているのに対して、重心移動の方は骨盤の移動がメインで移動しているで下半身の疲れは大きくかわってきます。
重心移動のコツは骨盤から動き膝を抜いて歩くことです。
歩く動作は片足から片足への重心移動の連続ですが、脚が疲れる人は重心移動を使わずに後ろ足で地面を蹴って身体を前に運ぶため疲れが溜まってきます。
下半身の疲れを解消するためには、下半身の強化ではなく身体の使い方の改善という戦略を取ることが、最も理にかなって且つ簡単な方法ですが、身体の使い方を改善する上で、まずやるべきことは重心移動の精度を上げることです。
歩いただけで疲れる方は歩いている時に後ろ足に体重が残っている状態の方が殆どで、これが筋肉を疲れさせる大きな要因となっていますが、重心を踏み出した足の上に乗せておくと脚の筋力をつかうのを最小限に抑えることができます。
文章では説明が少々難しいのでイメージがつきづらいかもしれませんが、身体の重心がある骨盤のポジションを覚えることがコツになります。
片足の足の上に骨盤の中心を的確に乗せることができれば、バランスを取る必要がなくなってきますし、重心移動がスムーズになります。
BAD
GOOD
踏み出した足が着地したと同時に骨盤を足の上に乗せ、このような直角三角形をつくることができればバランスを抑制するためにあらゆる筋肉が働き、安定させるために働かなくてすむのでエネルギー消費を抑えたり重心移動で歩くことが可能になります。
スイングの力みを解消するポイント
ゴルフのスイングで力む原因の大半は腕主体のスイングです。もちろん、ゴルフにおいて下半身の力を腕に伝えて行くことは大切なのですが、スイングで力む人は重要な要素が抜けている印象があり、それは胴体の使い方です。
下半身から生まれたパワーを腕からクラブに伝えるためには必ず胴体を経由しなければなりませんが、その通り道には、胴体を構成する骨盤(股関節)・背骨(胸椎)・胸郭(肋骨)・肩甲骨(鎖骨)が存在します。
この4つのパーツを使うことがスイングの力みを力感に変えるコツで、この力感こそが力強さやスピードやキレを生みだすので、まずは、この4つのパーツを動かせることが第一段階です。
腕主体のスイングで力んでしまう人は、これからご紹介する動きを行ってみてください。
骨盤(股関節)の動きチェック
骨盤には股関節もあり、骨盤の真ん中の仙骨から背骨が上に伸びているので骨盤の動きは特に重要なポイントです。
ゴルフのアドレス時に大切な「骨盤を立てる」「股関節に乗る」という感覚は以下にご紹介するカエルストレッチでチェックしてみてください。
背骨(胸椎)の動きチェック
仙骨から上に伸びる背骨の上部に当たる胸椎の動きが肋骨、肩甲骨の動きに直結します。
胸椎が伸展、屈曲、側屈、回旋これらの動作を自然に出せる状態を作ることで肋骨、肩甲骨が連動して動き、その動きが胴体で生んだパワーを腕に上手く伝達できます。
下記動画を見ながら胸椎の動きをチェックしてみてください。
胸郭(肋骨)の動きチェック
背骨(胸椎)の動きが出てくれば、それに伴い肋骨を3Dに動かせるかが腕の力みを解消する最大のポイントと言っても過言ではありません。
多くの人は肋骨が動くというイメージを持っていませんが、肋骨の動きが肩甲骨、鎖骨の動きを生み出し、その動きが腕へと伝わるという感覚が必須です。
肋骨は立体的に動くということを認知して動画を見ながらチェックしてみてください。
肩甲骨(鎖骨)の動きチェック
3Dに動く肋骨に連動してようやく肩甲骨、鎖骨を動かすことができます。
「肩甲骨を動かす」というフレーズはよく聞くでしょうし、肩甲骨を意識する人は多いのですが、肩甲骨だけの意識では理にかなった動きにはつながりません。骨盤、股関節、背骨、胸椎、胸郭、肋骨、鎖骨、全てが連動して初めて肩甲骨の動きは正常化します。
肩甲骨が動かずに腕を動かすと腕の負担は増え、それが力みとなり、飛距離は出ない、コントロールも悪い、さらには肘や手首を痛めるというところまで発展しかねません。
肋骨、肩甲骨の連動を感じて下記の動画でチェックしてみてください。
柔軟性不足を解消するポイント
柔軟性不足は上述したように、腕主体でスイングをしている場合であり、そもそも胴体を使えていないため、柔らかくなるはずもなく、使っていないので当然硬くなっていきます。(使ってなかった自転車が錆びてチェーンやハンドルの動きが悪くなるようなイメージ。)
もう一度整理すると、骨盤、股関節、背骨、胸椎、胸郭、肋骨、鎖骨、肩甲骨をまず使えるようにすることこれが柔軟性不足を解消するための第一歩です。
集中力の消耗を解消するポイント
ゴルフにおける集中力の消耗は下半身の疲れ、スイングの力みなど動きの面が影響していることが多々ありますが、集中力の消耗解消のポイントは2つです。
- 脱力
- 呼吸
この2つのポイントを理解し扱えると集中すべきポイントでの集中力が高まるはずです。
脱力
読んで字の如く「力を脱く」ですが力み癖のある人は脱力の仕方が全くわからない状況にあることが殆どですが、これは日頃から力を入れる癖が強化されているため、力を抜く感覚を失っている状態になります。
力を抜くポイントは、無力という訳ではないので、抜き切らず、脱力の中に力強さを生むための軸感覚(体軸)を身につけることが大切です。
軸感覚(体軸)を言葉にすると「細い糸で繋がった足裏と頭のラインの軸を通して、綱引きのように引き合うイメージをすると四肢の力を抜き足裏は重くなって頭は軽くなっていく感覚。」になります。
下記動画の『骨で立つ』感覚を試してみてください。
軸感覚は非常に感覚的な話しになってしまいますがこの感覚を得るためのポイントが呼吸になります。
呼吸
呼吸は横隔膜という筋肉がメインで行われます。
息を吸うと横隔膜は下がり、胸郭が膨らみ上がり、息を吐くと横隔膜は上がり、胸郭は萎み下がります。
この横隔膜の上下動が重心位置に大きく影響するのですが、息を吸うと重心は上がり、息を吐くと重心は下がりやすくなります。
脱力のポイントは息を吐くことです。集中力が失われてきた時は、往々にして呼吸が止まって肩が上がり、首に力が入っていることが多いですが、そうなった際は一度息を大きく吸ってから吐ききってみてください。そうすることで、重心が下がり、首が長くなり、肩が落ちて足裏が地面に沈んでいく感覚が得られる筈です。
その重心感覚で自然呼吸を続けてプレーに戻ると重心が下がり身体が安定することで四肢の力は自然と抜けるようになっていきます。その状態が取れたら、おへそ辺りから下は地面方向に沈み、みぞおちから上は空に伸びていくイメージでアドレスすると良い感覚を得られる様になっていきます。
まとめ
ゴルフで疲れるといった話を聞いていると、ほとんどの方が筋肉が落ちたからトレーニングしないといけないとか、太り過ぎて身体が重いからダイエットしないといけないという話ばかりです。
確かにそれも要因としてあるのですが、それらはあくまでも補助的要素で、実は身体の使い方が出来ていないというのが身体が疲れる最大の要因になります。
一昔前二昔前の方はまだまだ身体の使い方が上手かったので多少歩いた位では身体が疲れていませんでしたが、現代社会は利便性の代償や、あまりに整地され過ぎた環境などによって、正しい身体の使い方が殆ど出来ていません。
闇雲にトレーニングしたり、無理なダイエットをすると、さらに疲れが増えるばかりか、怪我をしたり病気をするなんてこともあるかもしれませんので、ぜひ正しい身体の使い方をしたり、正しい知識を得る様にすることを心がけてみてください。