バレーボールでジャンプ力を上げる方法|筋力ではなく身体の操作性

全日本バレーボールチームが再び世界で活躍出来る様になったり、アニメ「ハイキュー‼」の人気によってバレーボールがまた脚光を浴びています。
春高バレーを目指してバレーボールを頑張っている高校生から、生涯現役とママさんバレーを頑張っている人まで様々ですが、バレーボールといえばジャンプ力がものをいう代表的な種目です。
バレーボールでのジャンプ力は、垂直跳びの高さだけではなく、瞬間的な力発揮・連続ジャンプの耐性・全身協調性といった複数要素の複合体が必要になっているので、ただ筋肉を大きくして筋力をつけるだけでは不十分で短時間で強い力を出す能力が必須なうえに、様々な対応力も必要になってきます。
ある程度のジャンプ力をつけるのであれば、下半身の筋肉をつけるスクワットなどのトレーニングを行って筋力アップを計ればそれなりの結果をだすことは可能ですが、いわゆるバネがあると云われる人たち(ムキムキじゃないのに気持ちよさそうにジャンプしている人たち)は、理にかなった身体操作性が身についているからこそあの動きが出来ているのです。
今回はバレーボールでジャンプ力を上げる方法を筋力ではなく身体操作の視点から解説していきます。きちんと理解して上手く取り入れることが出来れば、きついトレーニングをしなくてもコツだけ掴んでジャンプ力を上げることも可能になるので是非参考にしてみてください。
ジャンプ力を上げるために必要なポイント
ジャンプで大半の人が下半身の力強さ・筋力が重要だと思っている人が殆どです。もちろんそれらも必要ではありますが、その前にまずするべきことがあるということを解説していきます。
ジャンプは『飛ぶ』ではなく『跳ねる』
ジャンプは下半身から上半身に力を伝えて飛ぶイメージだと思いますが、より高く、軽く、速く、楽に飛ぶためには骨盤からの動き(仙骨から動く重心操作)でその力の流れが床へと伝わり、その床からの押し返し(床反力)をもらってバネが縮んで『跳ねる』ようなイメージを持つことがポイントです。
ジャンプ力アップに必要な5つのポイント
- 仙骨操作
- 重心コントロール
- 抜重と荷重
- 足部の使い方
- 腱反射
これら4つの要素の解説をしていきます。
仙骨操作
まず仙骨がどこにあるかを見ていきましょう。
このように身体の中心、骨盤の中心に位置し、背骨の土台の役割を担います。
そして、身体で最も重い部分は胴体になり、単純に脚を使って重い胴体部分を動かすより、重い部分である胴体を動かした方が理にかなっていて効率がいいということになり、胴体の中心を通っている背骨の土台となる仙骨から動くことが必要なのです。
そうすることで、身体の動きに軽さが生まれキレが出ますし、股関節から脚はでているので骨盤から脚に力を伝える方が強く大きな力を発揮できます。
イメージとしては、仙骨から動き、その力の流れを地面に伝え、地面から床反力をもらい跳ねる感覚を得ることが重要です。
重心コントロール
次に重要なポイントが重心位置です。重心をどこに置いているかで動きの質感はかなり変わります。
身体の重心は東洋的には仙骨辺り(第二仙椎)、下丹田にあり、ここが骨盤の重心位置で、エネルギーの上丹田は眉間、ここが頭部の重心位置、中丹田はみぞおちにあり、ここが胸郭の重心位置になります。
また、ヨガなどで用いられる「チャクラ」は、エネルギーの集結場所でありエネルギーが出入りする通り道になり、その主要となる7つのセンターラインは全て仙骨上にあります。
つまり、上丹田(頭部)・中丹田(胸郭)・下丹田(骨盤)の3つの内、どこに重心を置くかで重心位置は決まり、そのコントロールの仕方はまずは『意識』です。
どこに、意識を持っていくかというイメージが大切になりますが、そのイメージを具現化するために『呼吸』を使います。意識だけではなかなか難しいかもしれませんが、呼吸を使うことで物理的に重心をコントロールできます。
呼吸を吸えば吸うほど重心は上丹田に向かい頭部側へ移り身体が浮くような感覚で軽くなり、逆に吐き切ると下丹田に向かい仙骨側へと落ちていき身体が沈み重くなります。吸うと吐くを繰り返して身体の重さの変化を感じる練習をし、呼吸で重心位置を操れる様にしてみてください。
抜重と荷重
重心位置のコントロールが体感で理解してくれば次のステップです。
抜重と荷重
読んで字の如くなのですが「重さを抜く」と「重さを加(荷)える」この使い分けが動作のスピード、キレ、力強さに直結し、筋力に頼らないジャンプを習得したいなら『抜重と荷重』は必須です。
身体は立っているだけで体重を支えるだけの筋力発揮をしていますが、この力をいっきに抜き、落下のエネルギーを生み出すことを『抜重』と云います。抜重は、一瞬フワッと浮く無重力のような感覚が起こり、コレを『浮き身』と云います。
抜重は、この落下という位置エネルギーを利用する技術で、浮き身の瞬間にジャンプ方向に重心を引き上げ、それと同時に着地するタイミングでアキレス腱のバネを使うことで、ボールを地面に叩きつけて跳ねるようなジャンプが可能となります。この落下という位置エネルギーを運動エネルギーに変換することで筋力に依存しない、「軽く、速い」という動きにつながります。
足部の使い方
ジャンプで外せないのが足部の使い方です。
まず、『足趾(そくし)』が使えるかどうかが1つ目のポイントです。足趾が使えている状態というのは、MP関節から指を曲げる動作ができることで、MP関節から指を曲げれると「たこ足」という地面を噛むことができます。
下記動画を見て足趾が使えているか確認してみてください。
MP関節が使えると足部を安定させる『足部内在筋』が働き、コレにより着地の際の衝撃吸収を担う『トラス機構』、足の剛性を高める『ウィンドラス機構』という足の重要なシステムが機動するようになります。
トラス機構
トラス機構とは、足に荷重した時に足底腱膜による足の3つのアーチで衝撃を吸収するシステムのことを云います。
3つのアーチがきっちり働くために欠かせないのが「ショパール関節」と「リスフラン関節」の正常な働きです。
この2つの関節は、足裏の剛性、柔軟性のバランス調整を担います。
この2つの関節を構成する足根骨である踵骨、距骨、舟状骨、立方骨、楔状骨のアライメントが崩れてるとアーチは潰れて扁平足を引き起こし足部の剛性は生まれないため、ジャンプ力に大きな影響を与えます。
足根骨のアライメントについての記事は以下をご覧ください。
ウィンドラス機構
ウィンドラス機構は足部内在筋がしっかり曲がることで、「足底腱膜」が引き伸ばされ、引っ張られた紐のように張力が生まれ足部の剛性が高められるシステムのことを云います。
ウィンドラス機構が働くためにはトラス機構が正常に機能しなければ成立しません。
足部内在筋が働かず、トラス機構が機能しなければ足底腱膜が働かないので、アキレス腱に上手くテンションが掛からず腱反射が使われずにふくらはぎの筋力に依存した重たい動きのジャンプになってしまい、コレを繰り返すとふくらはぎの負担が増大し、ふくらはぎが過剰に発達したり肉離れなどの障害を引き起こしかねないので注意が必要です。
腱反射
抜重と荷重の感覚がわかってくれば、あとは足部内在筋を使い、足部のアーチとアキレス腱を上手く機能させて『アキレス腱の腱反射』を使う感覚を養うだけですが、これが俗に云う『バネ感』を生み出すものになります。
腱は筋肉のように意図的に使うことは難しく、脱力から出力の瞬間的な切り替えによって機能するシステムになっているので、抜重と荷重を使わなければ腱を使うことはできません。
腱反射とは、腱が外力によって受動的に働き、瞬間的に伸張と短縮が行われる反応のことを云いコレを「ストレッチショートニングサイクル=伸張反射」と云います。
伸張反射を鍛えるのに有効なワークがポコジャンプです。
このジャンプを応用できれば縄跳びでふくらはぎが疲れにくくなり、いつもより長く、軽く、楽に飛び続けられるはずです。
まとめ
身体操作を見直したり高めることによってジャンプ力が上がるイメージなんとなく伝わったでしょうか。この身体操作を習得出来れば、ハイキュー!!の日向とまではいきませんが、バネのあるジャンプ、少なくとも今までと違う景色がみえるようになるはずです。どうしても専門用語が多くなってしまって理解しにくかったかもしれません。疑問点などありましたら何でもお応えしますのでお気軽にご連絡ください。