食べたら逆に痩せた?栄養と代謝の関係を解説

痩せようと思ったら「食べないこと。」「糖質(炭水化物)を抜くこと。」が、まだまだ主流で実践している方も多いですが、実際には…
食べない = 痩せる
というのは大きな誤解で、正しく食べることで代謝が上がり「食べたら逆に痩せた。」という現象が実際に起こりえます。凄く食べ過ぎている人の場合は食べないことで痩せることは当然ですが、ある程度の摂取制限を超えると逆に食べた方が痩せるという現象が当然のことになってきます。
今回の記事では、なぜ食べないと痩せないのか。逆になぜ食べたら痩せるのか。を、栄養学と代謝の仕組みから解説していきます。
食べないダイエットが失敗する理由
極端に食べる量を減らしたり、糖質(炭水化物)をカットするダイエットが失敗する主な理由は以下になります。
エネルギー不足で代謝が落ちる
私たち人間は、呼吸・心臓の拍動・体温維持・細胞修復など、生きているだけで多くのエネルギーをつかっていて、これを基礎代謝と呼びますが、1日の消費カロリーの60〜70%を占めるのがこの基礎代謝になります。
食べないという選択をすると、身体はエネルギー不足(飢餓状態)と認識するので省エネモードに入り、基礎代謝を強制的に下げてしまい、同じ生活をしていても消費カロリーが減少し痩せにくい身体に陥ってしまうのです。
低カロリーだと低エネルギーになってしまうので身体のエネルギー産生が停滞して消費エネルギーが低くなってしまうのは当たり前といえば当たり前のことですね。
筋肉が分解される
極端に食べない場合、身体はエネルギーを確保するために筋肉を分解し始め、筋肉が減ればさらに基礎代謝は低下していきます。体重が一時的に落ちていたとしても、それは筋肉減と水分減が主な要因で、脂肪は思ったほど減っていないのでリバウンドはほぼ確実に起こります。
因みに毎日体重を計測して上下しているのは基本的にほぼ水分ですので、毎日の計測をする場合は、痩せたとか太ったとかの目安ではなく、浮腫みとか身体の新陳代謝の目安にすることが賢明です。
ホルモンバランスが乱れる
栄養不足はホルモン分泌にも影響を与えます。特に甲状腺ホルモン(代謝を促進する。)や、レプチン(食欲抑制ホルモン)が乱れると、代謝が低下し食欲は逆に増進することさえ起きてしまいます。
その結果、食べないダイエットを続けるほど太りやすく、且つ痩せにくい体質に近づいてしまう可能性がでてきます。私たちは食べないと生きていけない生物ですので、食べなくなって栄養不足に陥ってしまうと身体の機能が低下して不健康になってしまうので痩せにくいのは当然のことですね。
適量の炭水化物は太る原因ではなく大切な原料と燃料
ダイエットというと、すぐに糖質カットや炭水化物抜きを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、炭水化物 = 悪者と決めつけるのは大きな誤解で、身体を成り立たせるために欠かせないものです。
主要器官の燃料
脳が1日に消費するエネルギーは約400〜500kcalと云われていますが、この大半をブドウ糖(炭水化物の最終形) から得ていますし、肝臓や腎臓などの内臓もブドウ糖を主要なエネルギー源にしています。
炭水化物を極端に減らしてしまうと、脳や内臓の働きが低下して基礎代謝がガタ落ちする為に痩せにくくなる という悪循環が起きてしまいます。
炭水化物は臓器の原料
炭水化物(糖質)は、燃料というイメージが強いですが、身体を構成するための原料でもあります。
実際にとあるクライアントさんが、お腹周りの脂肪を落としてシックスパックをつくるために炭水化物を長期間徹底的にカットしていたのですが、いつまで経ってもお腹周りの脂肪が落ちずに悩んでおられたのに対して、茶碗小盛1杯の炭水化物を昼と夜に摂取する様に勧めたところ、2週間でお腹周りの脂肪が落ちました。
炭水化物という原料の不足により、胃腸などが上手く機能していなかった為に低代謝を招きお腹周りに脂肪がついていたという解りやすいケースでした。
炭水化物を摂ることで代謝の火がつく
食べ物を消化吸収する際にはエネルギーが消費されますが、これを食事誘発性熱産生(DIT)と呼び、炭水化物を摂取することで、この消費エネルギーが高まります。つまり、適量の炭水化物を摂ることは代謝のスイッチを入れる行為でもあります。
気温が低い時に海水浴やプールにいって震えたりしている時におにぎりを食べたら身体の震えがとまってポカポカしてくるのがまさにそれです。
身体は本当に正直だから思考よりも身体に委ねるのが肝要
食べ過ぎていたらどんどん太っていく人もいれば、食べ過ぎてもどんどん痩せていく人もいます。
食べなかったらどんどん痩せていく人もいれば、食べなくても痩せない人もいます。
人それぞれの身体の特性や状態や、生活環境によって千差万別ですが、身体は本当に正直なので当たり前のことが当たり前の様に起きます。
「食べたら逆に痩せた。」も然りで、食べないと痩せるという概念に縛られているから逆に痩せたという思考になっているだけで、実際は当たり前のことです。
頑張っているのに痩せないという思考は、思考でこれをやったら痩せるという結論を導きだしているだけで、本当は正解ではないのです。現実に起こってしまっていることが結果で真実なので、考えていたことと違う結果になっていたとしたら、それは考えが間違っていたというだけです。
低カロリーダイエットで痩せる人もいれば、痩せない人もいます。
食物繊維を摂取して痩せる人もいれば、痩せない人もいます。
人は千差万別なので、誰かが結果がでたから私も結果がでるというものでもないので、結果がでなければ私には向いてなかったと違うことを試せばいいだけのことなのです。
「食べたら逆に痩せた。」ということも、上述してきた要因によって当たり前の結果が起きたに過ぎず、あなたにとっては炭水化物を食べた方が痩せる体質だったということだけなので、適切な食べ方を模索しながら取り組んでいくと良い結果に繋がる可能性が高くなります。
○○をしたら痩せるなどの情報に振り回されていると、思考や概念に捉われてどつぼにハマりやすくなってしまうので、SNSなどの情報に振り回されない為にも過剰に情報をみない方がいいかもしれないですね。
身体は本当に正直なので身体の結果を基にダイエットを組み立ていくのが1番です。